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「不動産ID」のゆくえに注目

「不動産ID」のゆくえに注目

「不動産ID」のゆくえに注目

アナログで非同期な不動産に関する情報

国土交通省で「第1回不動産IDルール検討会」が開催され、官民が保有する不動産情報の連携・蓄積・活用を進めるため「不動産ID」のルールづくりが始まりました。

不動産取り引きの活性化に向けて、国土交通省は、全国の土地や建物に「不動産ID」と呼ばれる番号を割りふり、官民が持つ不動産情報の連携を進めることになりました。AIを使った資産査定など新しいサービスの普及につながると期待されています。
「不動産ID」導入へ 国交省が検討会 今年度中にガイドライン | NHKニュース

不動産はまちに開かれている存在であるため公共性は自ずと高いはずですが、その情報については散逸していたり更新がされていなかったりして精度がイマイチです。不動産に関する情報がアナログで非同期であるため不動産取引において余計なコストが発生してしまっています。

国内の不動産には、土地・建物の共通番号(ID)が存在しておらず、住所や地番はあっても‶表記ゆれ”によって同一物件か否かが直ちには分からない。そのため、不動産会社が仲介や開発する場合に、さまざまな主体が保有する情報の収集や、消費者への情報提供を行なう際に手間や時間がかかるなど、非効率的な業務状況にある。
「不動産ID」ルール整備へ検討スタート | 最新不動産ニュースサイト「R.E.port」

狙いは不動産取引のDX

国土交通省不動産・建設経済局の令和3年4月15日付けの資料を読むと不動産IDのルール整備の経緯や背景がわかります。「新たなテクノロジーの積極的な活用」や「官民の各主体が保有する不動産関連ビッグデータの連携促進」という文言からはこれまでデジタル化がなかなか進んでいなかった不動産取引の領域を抜本的にDXさせていこうという狙いが伝わってきます。

出典:「不動産IDのルール整備について」国土交通省不動産・建設経済局(令和3年4月15日)

出典:「不動産IDのルール整備について」国土交通省不動産・建設経済局(令和3年4月15日)

不動産IDが整備され、さらにきちんと機能した先に不動産市場の透明性の向上や不動産業の生産性・消費者の利便性向上、低未利用不動産の利活用などなど、様々なメリットが想定されています。この通りに行けばもちろん良いです果たして。

不動産総合データベースは結局どうなった?

不動産に関する情報の一元化については過去に「不動産総合データベース」の構築に向けた動きがありました。物件情報や周辺地域情報などを集約してデータベース化し、それを当初は宅建業者が利用、ゆくゆくは一般ユーザーも利用できるようになることを見越していたようで、この動きはかなり期待をしていたのですが結局あまり進展がありませんでした。

今度こそはという個人的な思いもあり、今回の不動産IDの動きは注目しています。

巻口:不動産総合データベースについては、復活させていただきたい。お金をかけて作ったものですし。仲介や管理の事業者さんが、そのシステムを使うことができれば、官公庁に出向くことなくさまざまな情報を見ることができるはずです。そのデータベースはあるので、「復活してください」という要望です。
目指すは「2022年、全不動産のID化」/不動産テック協会・情報流通部会オンラインセミナー