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空き家を利活用して新しい価値をつくる

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商店街の空き店舗を活用する方法

「ふるいちトキワ荘通り店」の外観:2022年10月撮影

「ふるいちトキワ荘通り店」の外観:2022年10月撮影

時計修理店がブックカフェに

都営大江戸線の落合南長崎駅から徒歩5分、西武池袋線の東長崎駅から徒歩10分の場所にあるブックカフェ「ふるいちトキワ荘通り店」に行ってきました。元々は時計修理店でしたが、「商店街を盛り上げたい」という物件オーナーの想いが発露となり、株式会社ジェクトワン企画と改修を行い株式会社テイツーがカフェ運営を担っています

商店街を盛り上げたいという所有者様の熱い想いを受け、トキワ荘跡地に2020年7月に開業した「トキワ荘マンガミュージアム」を目指してやって来る来街者に、マンガの街・南長崎をより一層楽しんでいただけるように、また、南長崎地区の地域活性化を目的に改修を行いました。
地元文化の新たな発信拠点。マンガの街・南長崎の時計修理店からブックカフェへ | 空き家の活用は【アキサポ】

1品注文で漫画が読み放題です。手塚治虫や藤子・F・不二雄など、かつての「トキワ荘」に縁がある漫画家の名作がずらりと並びます。

クリームソーダを注文して「アドルフに告ぐ」を読む

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住居スペースと店舗スペースの境目が曖昧

店主の高齢化による後継者不足を筆頭に多くの課題を抱える商店街*1において、新しいお店やコンテンツを誘致したり出店を支援することは、その物件のみならず街の価値を上げるためにも非常に重要です。しかし、商店街には自宅も兼ねている店舗が多いため、他人に貸しづらいという問題があります。

ふるいちトキワ荘通り店が誕生した背景や経緯は、株式会社ジェクトワンが発行している「空き家手帳(第3版)」に詳しく載っていますが、住居スペースと店舗スペースの境目が曖昧であることが空き家の活用を妨げている要因の1つであると言及されています。

小出 この地域の活性は、まだこれからです。商店街には空き店舗が多くありますが、自宅も兼ねているので、昔お店だったところが今は玄関として使われていることも多く、空き家の活用には難しい問題がいろいろあります。
株式会社ジェクトワン 空き家手帳

出典:株式会社ジェクトワン 空き家手帳

出典:株式会社ジェクトワン 空き家手帳

住居スペースと店舗スペースを分離する工事

「住居スペースと店舗スペースの境目が曖昧だから、(店舗スペースを)誰かに貸せない」と、商店街にある以前はお店だったスペースのオーナーのご家族から聞いたことがありました。商店街において2階の住居スペースには人が生活しているけれど、1階の店舗スペースはシャッターが閉まっている「商売をやめた家」を「仕舞屋(しもたや)」と呼ぶということも以前、地域活動をしている友人から聞きました。であれば住居スペースと店舗スペースを分離する工事をすれば良いのではないかと考えます。

住居スペースで生活しつつ、店舗スペースはテナントに貸し出すことで賃料収入を得るのみならず、街の人たちに喜ばれるコンテンツを生み出すことにもつながります。

東京人2021年12月号*2では、住居スペースと店舗スペースを分離する工事のための補助金の創設について提案がなされています。

職住一体型の家も同じで、古きよきものの価値と、使いやすさの価値、どちらの価値も高めないと、家主さんもテナントさんも幸せになれない。
たとえば、商店街のテコ入れ策として、職住を分離する工事のための補助金みたいなものを、国や自治体が設定するのも戦略としてありだと思いますね。一階の店舗空間と二階の住居空間を分離するためだけの工事とか。
東京人2021年12月号 特集「商店街に新風」空き家活用でにぎわうまち[雑誌] P.63

自治体による改修費の補助金を上手く利用する

ふるいちトキワ荘通り店は豊島区の地域貢献型空き家利活用事業*3により補助金が交付されました。空き家活用を通した地域課題解決につながる事業や活動に対して、補助金でサポートしようという制度は各自治体で増えてきています。こういった制度も利用しつつ空き家活用が続き、広がっていくことが重要です。

点から線、そして面へ、空き家活用が広がる可能性を感じる

点から線、そして面へ、空き家活用が広がる可能性を感じる

*1:令和3年度商店街実態調査によると商店街が抱える問題は、経営者の高齢化による後継者問題が最も多い(72.7%)(次いで「店舗等の老朽化(36.4%)」、「集客力が高い・話題性のある店舗・業種が少ない又は無い(30.3%)」等)。

*2:東京人2021年12月号で紹介されていたニューニュータウン西尾久を散歩したときの記事はこちら

*3:豊島区は空き家活用と地域コミュニティの活性化を目指し、「地域貢献型空き家利活用事業」を2019年4月1日からスタートした。