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空き家を活用して新しい価値をつくる

空き家の活用とまちの再生を地域を歩いて考える(認定NPOまちぽっと伊藤久雄さんのお話)part2

空き店舗・空き工場が増加

 

前回は「空き家が発生する3つの条件」を書きました。今回は認定NPO法人まちぽっと伊藤久雄さんのお話part2ということで、空き家や空き店舗、空き工場の活用と課題などについてまとめていきます。

 

(1)目立つまち中の空き店舗

 

商店街の「シャッター通り」だけでなく、まち中の八百屋、魚屋、たばこ屋、クリーニング屋などの日用品を扱う数軒のまとまった店舗もだんだん姿を消しつつあります。背景には高齢化と後継者不足などがあります。事例として挙げられていたが小平市の東学園町商店街です。この商店街の店舗は長屋構造になっています。長屋構造の店舗(1階が店舗、2階が住居の構造)は1階の店舗を通って2階に上がる構造であることや1階に水回り(台所、トイレ、風呂など)があることなどにより、1階の店舗だけを貸すことが難しいといわれています。

 

(2)まち工場の閉鎖と空き工場化

 

比較的大きなまち工場の跡地はマンション用地となることが多かったですが、規模の小さいまち工場の場合は利活用が課題になります。事例では住工混在の地区である品川区西大井で工場が閉鎖され空き工場が目立つことが取り上げられていました。店舗と同じく後継者不足が課題です。

 

(3)その他の地域課題

 

まち中にあった内科、小児科などの小規模医院、診療所なども店舗と同様に廃業が目立ちます。需要の減少や後継者難などが指摘されています。変わってまち中には歯科医院や整骨医、整体医が、駅前のビルにはクリニックが多数入るというケースも増えています。ほかには空き地の問題もあります。駅から遠い空き地は駐車場にも出来ないといった課題があります。

 

空き家・空き店舗の活用

 

(1)空き家活用

 

カフェやレストラン、コミュニティスペースや低所得者向け宿泊所、デイサービス事業所など事例が紹介されていました。

 

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中野の古民家カフェ「モモガルテン」 | ヨッテオイキヨ

 

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東大和デイサービス。

空き家等の活用事例 ①|市民自治ノート - NPOまちぽっとから

 

(2)空き店舗活用

 

小平市東学園町(学園一番街商店街)にある「学園坂タウンキッチン」、東大和市南街にある「リサイクルショップらら」などが紹介されていました。

 

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シェフは街のお母さん。“おすそわけ”から、つながる・ひろがる「TOWN KITCHEN」の取り組み [マイプロSHOWCASE] | greenz.jp グリーンズ

 

空き家・空き店舗利用の課題

 

(1)空き家か否か

 

季刊まちぽっと(2014年春号)では「豊島区居住支援協議会」の取組が紹介されています。豊島区居住支援協議会事務局スタッフによると次のような課題が指摘されています。

 

  • 利活用できる空き家がなかなか見つからないこと(外見上空き家であっても、所有者の多くが空き家と認識していない)
  • 築年が古く、既存不適格建築と推察されるものは、公費による事業としては見送らざるをえないこと
  • 貸す側と借りる側の時間感覚の問題があること
  • 行政区画の違いによる問題があること(生活圏は行政区を跨いで広がりを持つ)

 

(2)窓先空地

 

豊島区に限らないですが「窓先空地」の問題も指摘されているようです。「窓先空地」とは共同住宅における火災時の避難を容易にするために、共同住宅の敷地のうち、1階の住戸の窓に直面する敷地部分において、幅員数mの空地を設け、その空地を避難経路として利用できるようにしたものです。この窓先空地の制度は東京都や横浜市など一部の自治体でのみ実施されている制度です。「脱法ハウス」の取り締まりの副作用としてシェアハウスも法律や条例の基準不適合になることが懸念されました。しかしその後、窓先空地の基準は緩和され、戸建て住宅のシェアハウスやグループホームへの転用がしやすくなりました。

 

(3)空き家対策条例化の課題と法制化の検討

 

空き家対策条例は今年10月現在、全国で401の自治体が制定しています(全国の市区町村は1,741)。 そして空き家対策特別措置法は昨月制定され来年6月頃までに施行される予定です。

 

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今回はここまで。次は空き家をどう捉えるかという視点のことについて書きます。

 

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