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空き家の活用とまちの再生を地域を歩いて考える(認定NPOまちぽっと伊藤久雄さんのお話)part3

空き家を捉える視点

 

認定NPO法人まちぽっとの伊藤久雄さんのお話part3は「空き家を捉える視点」についてです。空き家を「社会的費用」として捉える視点、「地域資源」として捉える視点と真逆ですがその両面を持つのが空き家です。そして「短期」なのか「中・長期」で捉えるのかによって色合いが違って見えます。

 

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(1)社会的費用と短期的視点

 

まずは空き家の増加は「社会的費用」であるという視点です。社会的費用はいわゆる「外部不経済」のことで、市場経済に内部化されない公害や環境破壊がもたらす社会全体の損失や社会や第三者が負担させられる費用のことです。具体的には先日、老朽空き家の強制撤去がありましたが、撤去にかかる費用や手間、時間など自治体にとっては負担になります。他にも防災、防犯、生活衛生、景観など周辺住民に迷惑が及ぶことも社会的費用(外部不経済)と捉えられます。

 

(2)地域資源と短期的視点

 

空き家を「地域資源」として捉えると、地域の課題解決や新しい価値を生み出す場所として活用することが考えられます。地域交流拠点、定住促進住宅、アーティストの居住・製作・発表の場など様々な用途の可能性が広がります。事例として世田谷区の取組が紹介されていました。

 

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空き家等地域貢献活用相談窓口|市民まちづくりの支援|トラストまちづくり事業|一般財団法人世田谷トラストまちづくり

 

空き家・空き室・空き店舗などを活用した「居場所」づくり、木造アパートに居住する低所得高齢者のための、空き家等を活用したグループホーム、シェアハウスの提供などが重要だと指摘されています。

 

(3)社会的費用と中・長期的視点

 

長い目で見ると、空き家が発生する社会構造を変える必要があります。そこで不動産コンサルタントの長嶋修さんが提案している「住宅の総量規制」があります。具体的にはOECD(経済協力開発機構)に加盟している国々の大多数は10年間の「住宅需要」と「住宅建設見込み」を推計しているそうで、これを参考に「人口動態などの指標に基づき、住宅総量目標を設定する」という提案にぼくも賛成です。

 

OECDの諸外国は)世帯数や住宅数の現状と将来見込みを勘案し、今後の住宅滅失数や新築供給量、省エネ性能など誘導する住宅の質を決定、それに基づき税制や融資制度によってコントロールしています。

 「これから3年 不動産とどうつき合うか」p81

 

(4)地域資源と中・長期的視点

 

例えば防災対策上の視点として「一定の空き家・空き室のストック」を確保することで災害時の仮設住宅として活用出来ます。「仮住まいの輪」といった取組が代表的です。

 

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