マチノヨハク

不動産市場に出ていない物件を利活用して新しい価値をつくる

京都市の「空き家活用促進税」の動向が気になる

京都駅の夜景:2014年6月撮影

京都駅の夜景:2014年6月撮影

立地条件を踏まえて税額を算出

日経電子版の記事によると、京都市においてかねてから導入を検討している「非居住住宅利活用促進税(仮)」は立地条件を踏まえた税額の算出方法を軸に検討を進めていることが明らかになりました。

新税は日常的な住まいとして使われていない別荘や空き家などに課す「非居住住宅利活用促進税(仮)」。家屋の固定資産評価額に一定割合を乗じた額に立地や広さを考慮した「立地床面積割」を足した額を課税する。

京都市の「別荘・空き家税」、課税額に立地を反映: 日本経済新聞

資産価値の高い土地の空き家への税負担額は大きく

2021年4月に有識者会議から京都市に出された答申では税額の算出方法が3つの案として提示されていましたが、案1の「資産価値を表す額に税率を乗じた額を課税」が採用されました*1。立地が良い資産価値の高い土地の空き家はその分、税負担額が大きくなることになります。

まちづくりの担い手不足とまちの空洞化

この京都市の動きの背景には3つの課題があります。

若年、子育て世代の転出超過

1つ目は20代、30代の転出超過です。京都市全体で見ると転入超過ではあるものの、若年世代の20代、子育て世代の30代が転出超過しています。経済的な基盤がまだまだこれからである世代が住みづらい現状があります。

出典:非居住住宅の所有者への適正な負担の在り方について令和3年4月(京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会)P.21

出典:非居住住宅の所有者への適正な負担の在り方について令和3年4月(京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会)P.21

空き家の増加

2つ目は居住世帯のない住宅である空き家の増加です。これは京都市に限らず全国的な課題となって久しいです。空き家の増加は防災や防犯、生活環境、景観などの観点から多くの問題を孕んでいます。また、スペースの活用が進まないことによる機会損失が生じています。

出典:非居住住宅の所有者への適正な負担の在り方について令和3年4月(京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会)P.21

出典:非居住住宅の所有者への適正な負担の在り方について令和3年4月(京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会)P.21

厳しい財政状況

3つ目は厳しい財政状況です。京都市は人口に占める大学生や高齢者の割合が他の指定都市よりも高く、23歳〜64歳までの割が低いため、指定都市の中で個人市民税の納税義務者の割合が低くなっています。また、歴史や文化に恵まれている街であるため土地の固定資産評価額の1㎡当たりの単価は指定都市の中で上位にある一方で、建築物の高さ規制などの影響により非木造家屋の市民1人当たりの床面積は指定都市の中でも低くなっています。

以上3つの課題を総合すると「まちづくりの担い手不足とそれに伴うまちの空洞化」という大きな課題が見えてきます*2

新たな税の名称はどうなる?

とても気になるのが新たな税の名称です。空き家や別荘など主に居住用として使っていない住宅の活用を促すという意味で「非居住住宅利活用促進税」という名称案が答申の中では提示されていますが、今後どうなるのでしょうか。もうちょっと市民がわかりやすく感じて空き家や別荘を活用しようという気持ちになるようなネーミングが重要です。

新たな税の導入に当たっては、同税の目的を分かりやすく示すものとなるよう、例えば、「非居住住宅利活用促進税」など、適切な名称を検討されたい。また、通称を用いることも検討してはどうかと考える。
非居住住宅の所有者への適正な負担の在り方について令和3年4月(京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会)P.15

▼この件について2021年4月に書いた記事です。

akiya123.hatenablog.com

▼2014年6月7日に京都で開催された空き家イベントのレポートです。(全8記事)

akiya123.hatenablog.com