マチノヨハク

空き家を利活用して新しい価値をつくる

個人住宅の空き家を利活用する

 

個人住宅の空き家を利活用する

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住生活基本計画が5年ぶりに見直し

少し前の話になってしまうが、2021年3月に国の住宅政策の指針となる住生活基本計画が5年ぶりに見直された。気候変動の影響による自然災害の頻発・激甚化、働き方改革やコロナ渦を契機とした新しいライフスタイルへの関心の高まり、デジタル化やDXの急速な進展など、住生活を巡る社会環境の変化へ対応していこうという内容になっている。計画期間は2021年度〜2030年度までだ。

出典:新たな住生活基本計画の概要(令和3年3月19日閣議決定)【国土交通省ウェブサイト】

出典:新たな住生活基本計画の概要(令和3年3月19日閣議決定)【国土交通省ウェブサイト】

前回は空き家に関する成果指標が初めて明記された

住生活基本計画において私が特に注目していたのが前回の見直しの際に初めて設けられた空き家に関する成果指標だ。空き家の中でも賃貸用又は売却用の住宅以外の「その他空き家」が年々増加していることを踏まえて5年前の住生活基本計画では、賃貸・売却用等以外のその他空き家数を318万戸(2013年)→400万戸程度におさえる(2025年)と成果指標にしっかり明記されたのである。

出典:住生活基本計画(全国計画)(平成28年3月18日)P.12【国土交通省ウェブサイト】

出典:住生活基本計画(全国計画)(平成28年3月18日)P.12【国土交通省ウェブサイト】

その他空き家の増加が目立つ

空き家の中でも賃貸用又は売却用の住宅は不動産市場に出ているためさほど問題にはならないがその他空き家に関しては違う。放置され続けることで周辺に悪影響を及ぼす脅威となり、まちの景観やイメージダウンにつながり、これまでとは違う利用や新たな活用を妨げる機会損失を生じさせることになる。(参考:外部不経済と機会損失 カテゴリーの記事一覧 - マチノヨハク

空き家の種類別に増減数の推移を見てみると、その他空き家(=その他の住宅)がコンスタントに増加傾向にあることがわかる。ただし、最新の調査結果ではその他空き家の増加傾向は少し緩やかになっている*1

出典:空き家対策の現状と課題-空家等対策特別措置法の施行状況を中心とした概況-P.86【立法と調査 2019.10 No.416】

出典:空き家対策の現状と課題-空家等対策特別措置法の施行状況を中心とした概況-P.86【立法と調査 2019.10 No.416】

400万戸程度におさえる、は5年後ろ倒しに

では5年ぶりに見直された今回の住生活基本計画において空き家に関する成果指標はどうなっているのかというと、その他空き家数を349万戸(2018年)→400万戸程度におさえる(2030年)と引き続き明記されたものの、前回の住生活基本計画の成果指標の達成年次は2025年だったため400万戸という目標数は変えずに達成年次を5年後ろ倒ししたことになる。

出典:住生活基本計画(全国計画)(令和3年3月19日)P.17【国土交通省ウェブサイト】

出典:住生活基本計画(全国計画)(令和3年3月19日)P.17【国土交通省ウェブサイト】

個人住宅の空き家を利活用する

国はその他空き家の適切な管理の促進や管理不全空き家の除却、そして多様な利活用を推進していこうと様々な施策を打っている、また打とうとしている。その中の一つに「個人住宅の賃貸流通の促進」がある。具体的にはDIY型賃貸借を活用して個人住宅の空き家を賃貸流通させていこうという施策である。ここで言う個人住宅とはつまりその他空き家のことだ*2。その他空き家もとい、増加傾向にある個人住宅の空き家は、これまでとは違う利用や新たな活用といった新しい価値を生み得るポテンシャルを秘めている。

全国で官民による空き家対策や空き家利活用の取組が進められており、空き家の抑制に寄与しているという見方もある。しかし、直近10年間の新設住宅着工戸数は年80〜90万戸で推移するなど新築重視の住宅市場がいまだに続いていることから空き家は一定数増え続ける。個人住宅の空き家の利活用を進めるために今後も研究と実践に取り組む。