散らばっている空き家を活用し地域一帯をホテルとする
地域に散らばっている空き家を活用し、建物単体ではなく地域一帯をホテルとするイタリア発祥の取組「アルベルゴ・ディフーゾ(Albergo Diffuso)」をご存知でしょうか?アルベルゴ=宿、ディフーゾ=散らばっているという意味で、直訳すると「散在する宿」です。普通、ホテルというとホテルの中にレストランやバーがあって、お土産が売ってたり、いろいろな催しがやってたりしますが「散在する宿」は違います。その名の通り一つのホテルの中でサービスが完結するのではなく、地域のいくつもの場所でおもてなしがあります。
町に1つのレセプション(受付)があり、そこでチェックインして、町の中のどこかのお部屋の鍵を受け取る。まるでその町に住んでいるかのように滞在するスタイルのホテルのことです。朝食&夕食会場もきまった町中のレストランでとる。いわば、垂直に高いホテルではなく、水平に広がるホテル。ネットワーク型ホテルなんて呼ばれているのも聞いたことがあります。
(出典:http://www.albergodiffuso.com)アルベルゴ・ディフーゾ協会のウェブサイトから。まさに地域に宿が分散しています。
アルベルゴ・ディフーゾは1980年代に考案され、その後イタリア各地に広がっていきました。
アルベルゴ・ディフーゾ(Albergo diffuso)とは、点在して広がる宿という意味。
1980年代にフリウリ州で考案され、90年代にサルデーニャ島をはじめイタリア各地に広がった、空き家を有効利用した新しいタイプの宿なのです。
(出典:http://www.alberghidiffusi.it)
日本にも存在するアルベルゴ・ディフーゾ
こうした取組ですが日本でもいくつか存在します。まずは東京都谷中の「hanare」です。最小文化複合施設「HAGISO」2階のレセプションでチェックインし、谷中の街を歩きながら宿泊棟である「hanare」へ。hanareもHAGISOも元々は空き家でした。お風呂は銭湯へ、レストランは街の飲食店へ、お土産物の買い物は商店街や路地裏の店舗へと、谷中という街全体で暮らすように泊まることが出来ることが大きな魅力です。
大浴場はまちの銭湯。ホテル自慢のレストランはまちの美味しい飲食店。お土産屋さんは商店街や路地に店を構える雑貨屋さん。文化体験はまちのお稽古教室やお寺で。レンタサイクルは自転車屋さん(しかも、tokyobike!)で借りることができますよ。
(出典:http://hanare.hagiso.jp)街を歩きながら、その街に住んでいる人のような生活体験を味わうことが醍醐味です
(hanare web movie - YouTube)hanareについてわかりやすく伝えられている約1分の動画
街の歴史や文化を体験する
直近のニュースの中では、岡山県矢掛町にある古民家を再生した宿泊施設「矢掛屋」と周辺の施設が「分散型ホテル」として国内初の認定を受けた、と報道されていました。日本では「分散型ホテル」という呼び方が結構使われているみたいです。モノ消費からコト消費へと消費行動のトレンドが移行していることに現れているように、民泊もそうですが単に宿泊するだけではなく、街の歴史や文化を体験するということの魅力に多くの人が気づき始めてきていると言えます。
矢掛町は江戸時代に宿場町として栄え、現在でも白壁など当時の面影が残っている。ADの認定はイタリアやクロアチアなどで150カ所以上が受けており、国内では初という。