空き家の活用で社会的課題を解決するブログ

空き家を活用して社会的課題を解決したり、新しい街のコンテンツに生まれ変わらせる。そんな観点から書いているブログです。

無秩序な新築住宅の供給にNOを!

経産省に続き国交省でも若手職員プロジェクト

2017年5月に公開され、かなり話題になった経産省の次官・若手プロジェクトに続き、今年7月には国交省でも政策ベンチャー2030という若手職員プロジェクトによる最終報告が公開されました。タイトルは「日本を進化させる生存戦略〜都市も、地方も、個人も組織も課題を直視し、挑戦を続け、失敗から学び進化・適用する社会へ〜」です。とても固いですが中身は熱いです。

この度、2018 年3月 29 日に提示した未来シナリオを踏まえ、今後我々が取り組む べきアクションをまとめました。もちろん、本提言に掲げるアクションの実現に向けては多くの障壁が存在することは理解しています。また、2030年の豊かな日本社会の実現のために一定の痛みを伴うことも避けられないと考えています。ただし、超高齢化、急激な人口減少による誰も経験したことの無い未知の世界に突入する状況において、現世代である私たちが「何もせずに静観する」ことは最も罪深い行為であると感じています。 

日本を進化させる生存戦略 はじめに

空き家の増加とそれがもたらす外部不経済、放置空き家予備軍を発生を未然に抑制していくための措置、新築住宅の供給に一定の歯止めをかける、など気になることが言及されていました。

コンパクトシティに対する捉え方のズレ

2014年に施行された改正都市再生特別措置法に基づき、市町村が策定する街づくりの計画である立地適正化計画は、将来の人口予測や財政状況をもとに、都市機能と居住地を集約する特定区域を定めることになっています。2018年5月1日時点で全国の161自治体が計画を策定・公表しています。しかし日経新聞の調査によると、立地適正化計画を作った理由として8割超が「コンパクトシティが必要」と回答しつつも、「国の補助金事業や支援措置の申請に必要」という回答も約8割を占めており、市街化抑制・都市集約に対する捉え方が国と地方でずれていることがわかりました。未だに郊外の住宅開発を黙認している自治体もあるなど地方分権の負の側面が露呈しています。

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(出典:街の集約、補助金ねらい8割 自治体自発性乏しく :日本経済新聞

立地の観点を踏まえた住宅・土地税制等のメリハリ化

政策ベンチャー2030では無秩序な新築住宅の供給に歯止めをかけていくことの必要性を提言しています。要するに立地適正化計画の実行力を高めればいい話なのですが、今後どれだけこの提言が政策に反映されていくのか注目です。以下、関連部分の抜粋です。国土交通省 政策ベンチャー2030 - ホーム | Facebook

1.2.4 立地の観点を踏まえた住宅・土地税制等のメリハリ化
(課題・背景)
・既に世帯の数を上回る住宅ストックが存在する中、空き家の発生が全国的に課題となっている。民間シンクタンク1の予測によれば、2033 年には総住宅戸数約7160万戸、空き家は約1955 万戸(空き家率 27.3%)になるとされるなど、今後更に空き家が増加することが見込まれている。既存住宅の流通促進、用途転用等による空き家の利活用、都市のスポンジ化対策といった政策努力を続けてもなお加速化する可能性のある空き家・空き地化の進行は、特にまちなかにおいて治安・衛生・防災上の課題や地域の衰退などの外部不経済を引き起こすことが懸念される。
・今後、更なる人口減少が見込まれる中、居住や都市機能を一定エリアに誘導しながら集積の経済を発揮していくことは有効なサバイバル戦術であり、誘導エリア内では新規開発や既存の優良な住宅・建築物ストックの有効活用を促していくことはもちろんのこと、同時にエリア外では将来の負の資産たる放置空き家予備軍の発生を未然に抑制していく措置が求められる。
・現在の住宅・土地・都市政策における新築住宅の取得支援等の居住促進ツールの多くが税制や金融支援であるが、それらには人口減少を所与の前提として居住地域を絞り込んでいくという立地の観点が織り込まれていないのが現状。これからの縮小局面ではこのような誘導施策のあり方を抜本的に見直し、例えば税制や金融支援などに関して立地の観点を踏まえて新築住宅の供給に一定の歯止めをかけていくことが必要ではないか
(内容・効果)
地方公共団体が前述のナショナルミニマムの財政需要モデル等を考慮し、将来的に居住や都市機能を誘導していく区域を設定(現行の立地適正化計画制度の枠組みを活用しながら、より実効性の高い区域設定が行われる仕組み)。
・一定エリアへの居住誘導を促進するために誘導区域内外で住宅・土地税制等のインセ ンティブ措置のメリハリ強化を段階的な限定化も含めて検討していく。例えば、放置空き家・空き地に対するディスインセンティブの徹底などを前提として、新築住宅の取得等に係る住宅・土地税制や金融支援は、居住を誘導すべきエリアに適用範囲を限定し重点化していくなど、立地の観点を踏まえた仕組みへ変えていくことなどが考えられる。

日本を進化させる生存戦略 P15-P16

f:id:cbwinwin123:20180818192055p:plain(出典:http://www.mlit.go.jp/common/001247738.pdf