マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

人口減少を背景に国土利用計画案が初めて住宅地抑制に方針転換

新しい宅地造成を抑制

 

各省庁ではいろいろな審議会が設置されています。国土交通省では国土審議会や社会資本整備審議会などいろいろあるわけですが、このたび、国土審議会計画部会の中で向こう10年間の国土利用計画における土地利用目標について議論が行われています。重要な点は、過去4回の計画で一貫して増加目標を掲げていた住宅地面積は現状から横ばいとする抑制方針を打ち出したことです。これはつまり、空き家や中古住宅など既存ストックを利活用していくことをメインとした住宅政策への転換を促すことが狙いです。

 

国土交通省の国土審議会計画部会は5日、今後10年の土地利用目標を示す新たな国土利用計画案を了承した。1976年以降、過去4回の計画で一貫して増加目標を掲げてきた住宅地面積は現状から横ばいとし、抑制方針を打ち出した。人口減少を踏まえ、新たな宅地造成ではなく、空き家や中古住宅の有効活用を促す。大規模災害が頻発していることを受け、危険なエリアでの開発制限を盛り込んだ。

人口減で住宅地抑制に転換 10年後の国土利用計画案 - 47NEWS(よんななニュース)

 

都市の集約化、空き家の有効利用、既存住宅ストックの有効活用への転換

 

国土交通省国土審議会第9回計画部会の配布資料のページから第五次国土利用計画(全国計画)最終報告(案)を見てみると都市の集約化や空き家の有効利用、既存住宅ストックの有効活用への転換がうたわれています。

 

カ 住宅地については、人口減少社会に対応した秩序ある市街地形成や豊かな住生活の実現の観点から、住宅周辺の生活関連施設の整備を計画的に進めながら、耐震・環境性能を含めた住宅ストックの質の向上を図り、良好な居住環境を形成する。その際、地域の事情を踏まえつつ、都市の集約化に向けて居住を中心部や生活拠点等に誘導したり、災害リスクの高い地域での整備を抑制する。住宅地の整備に際しては、世帯数が計画期間中に減少に転じると見込まれるため、土地利用の高度化、低・未利用地や空き家の有効利用及び既存住宅ストックの有効活用を優先し、自然的土地利用等からの転換は抑制しつつ、必要な用地を確保する。

第五次国土利用計画(全国計画)最終報告(案)P12

 

今後10年間の面積目標の中で「宅地」は190万haから横ばいです。つまりこれ以上宅地は増やさない国土利用計画にするということです。

 

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(画像引用元:国土交通省国土審議会第9回計画部会資料5 第五次国土利用計画(全国計画)最終報告(原案)の面積目標について(PDF)

 

 

今夏の閣議決定を目指す

 

今後、パブリックコメントや国土審議会での審議を経て、7月下旬から8月上旬に閣議決定する予定です。

 

国土交通省は、国土に占める住宅用地の割合を増やさない方針を打ち出した。新しい宅地造成を控え、代わりに空き家や中古住宅の活用を促す。人口や世帯数が減るなか、これまでのように郊外で宅地開発を進めれば、街づくりが難しくなるためだ。

今後10年ほどの土地計画の目標として7年ぶりに改定される「国土利用計画」の素案に盛り込んだ。今夏の閣議決定をめざす。計画では2025年の宅地面積は12年と同じ116万ヘクタールとした。これまでは一貫して宅地を広げていく計画を立てていた。

新たな宅地造成を抑制 国交省素案、人口減に対応:朝日新聞デジタル