ロールモデル思考法(梅田望夫©)とは?
今更ながら梅田望夫さんの「ウェブ時代をゆくーいかに働き、いかに学ぶか」を読みました。「ウェブ進化論」も昨年読みましたが、インターネット時代に個人が組織に依存しないで「やりたいこと」や「好きなこと」で働き、学び、遊び、生きていくために大事なことがたくさん書かれていました。
特に気に入った「ロールモデル思考法」について書き残します。
ノーベル賞学者・小柴昌俊はインタビューに応えてこう語っている。
「大事なのは、「自分はこれをやりたい」というものを見つけること。それが人生でいちばん大切なことです。もちろん、簡単ではない。自分が何に向いているのか、何が好きなのか、見つけるのはやさしくない。それでも何とか見つけ出さなければいけない。良くないのは、見つける努力をしないでフワフワ生きていること。それが一番困る」(「フォーサイト」誌、2007年3月号)P118
2007年のお話です。もうだいぶ前のように感じますね。まだブログが出始めでソーシャルメディアも出回る前ですね。著書の中ではまず、”カミオカンデ”のノーベル賞学者・小柴教授のお話を引用されています。次に梅田望夫さんの言葉が続きます。
確かに自分の「好き」を発見するのは難しい。自分で「好き」だと意識していないことが実は「好き」だったのだと何年もたって発見することもある。しかし「見つける努力」って何をすればいいんだろう。私たちは、そもそもどういうふうにして何かを好きになり、「これをやりたい」と没頭できる対象を見つけるのであろうか。「好き」を見つけて育てるための思考法は何かないのだろうか。 P118
「好き」を見つけて育てるための思考法、これがロールモデル思考法というわけです。
答えを外界に求める
「好き」を見つけるためにひたすら自分に問いかけてみても底は知れています。外の世界へと探求することで見つかるかもしれません。
「好きなこと」「向いたこと」は何かと漠然と自分に向けて問い続けても、すぐに煮詰まってしまう。頭の中のもやもやは容易に晴れない。ロールモデル思考法とは、その答えを外界に求める。直感を信じるところから始まる。外界の膨大な情報に身をさらし、直感でロールモデル(お手本)を選び続ける。たった一人の人物をロールモデルとして選び盲信するのではなく、「ある人の生き方のある部分」「ある仕事に流れるこんな時間」「誰かの時間の使い方」「誰かの生活の場面」など、人生のありとあらゆる局面に関するたくさんの情報の中から、自分と波長の合うロールモデルを丁寧に収集するんである。P119
つまり誰か興味のある人が発信している情報や気になる物事という自然と惹かれてしまう「対象」をロールモデルとして追いかけるわけですね。TwitterやFacebookでフォローして自然と情報が入って来るようにしたりブログを読んだりイベントに参加したり。
ぼくとしては空き家活用や空き家問題、リノベーションや住宅政策、そしてブログ運営といった物事に興味があって、オリンピックの代替プランを提案しようとしているPLANETSの宇野常寛さんや高知に移住されたプロブロガーのイケダハヤトさん、病児保育や待機児童といった社会的課題の解決に取り組むフローレンスの駒崎弘樹さんなどロールモデルがたくさんあります。(別の機会にまとめたいと思います。)
自分の内から出てくる何かが具体的に見えずとも、「ある対象に惹かれた」という直感にこだわり、その対象をロールモデルとして外部に設定する。そしてなぜ自分がその対象に惹かれたのかを考え続ける。それを繰り返していくと、たくさんのロールモデルを発見することが、すなわち自分を見つけることなのだとだんだんわかってくる。自分の志向性について曖昧だったことが、多様なロールモデルの総体として、外側の世界からはっきりとした形で顕われてくる。それが、そのときどきのゴールとなり「けものみち」における灯台になるのだ。P120