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空き家を活用して新しい価値をつくる

今後の展開が気になる空き家補助金制度2つ

空き家活用や中古住宅流通の促進、住宅セーフティネット制度の創設などなど、国土交通省では様々な施策を進めています。そこで今回は、これからスタートする空き家絡みの新しい補助金制度2つについて書きます。

(1)40歳未満の人が中古住宅を購入してリフォームを行う場合、最大65万円の補助金

まずはこちらのニュースから。国土交通省が2017年2月から、住宅ストック循環支援事業の一環として、40歳未満の人が中古住宅を購入してリフォームを行う場合、最大で65万円の補助金を支援する制度の申請受付を開始します。具体的には現在、制度設計中であるホームインスペクション(住宅診断)やエコリフォーム(省エネリフォーム)、耐震改修工事の費用に補助金が出るわけです。ただ、補助金といえば色々な条件があるのが世の常。細々とした条件をクリアした上でないと補助金は出ません。つまり、

  • 自分が居住する住宅として中古住宅を購入した40歳未満(2016年10月11日時点)であること
  • 購入時にインスペクション(住宅診断)を実施すること
  • 既存の住宅売買瑕疵保険に加入すること
  • 2016年10月11日以降に売買契約を締結し、事業者登録日以降に購入住宅の引き渡しを受けること

が条件となります(参照元記事)。

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 (画像引用元:国土交通省>住宅ストック循環支援事業について>説明会資料>既存住宅流通チラシ「住宅ストック循環支援事業〜既存住宅の流通に対する支援」)

申請書類の受付は2017年2月1日〜2017年6月30日を予定しています。制度の細かい内容については国土交通省のウェブサイトが詳しいです。

(2)空き家に入居する子育て世帯や高齢者に最大月4万円の家賃補助、改修費最大100万円の補助も

次はこちらのニュースです。空き家に入居する子育て世帯や高齢者に最大で月4万円の家賃補助、そして受け入れる住宅の所有者に改修費を最大100万円補助する制度を2017年秋にもスタートします。

国土交通省は空き家に入居する子育て世帯や高齢者に最大で月4万円を家賃補助する。受け入れる住宅の持ち主には住宅改修費として最大100万円配る。早ければ2017年秋に始める。子育てや高齢者の生活を住宅面から支え、深刻になりつつある空き家問題の解決にもつなげる。

空き家入居に月4万円補助 子育て世帯や高齢者 :日本経済新聞

空き家を活用したこうした新しい制度を設けるに至った経緯は、公営住宅や子育て世帯に必要な十分な広さの民間賃貸住宅の不足と、全国的に増加している空き家の活用という2つの側面があります。今ある既存ストックを活用して住宅を必要としている人へ良好な住環境を整備する、というわけです。

公営住宅の応募倍率は全国平均で5.8倍、東京都は22.8倍に達する。一方、民間賃貸住宅では子育て世帯が十分な広さの家に住めなかったり、家賃滞納や孤独死のリスクがあるとして高齢者が入居を拒まれたりするケースが多い。
全国の空き家は約820万戸に達し、そのうち賃貸住宅が430万戸を占める。今後も世帯数の減少で空き家は増え続ける見通し。新たに公営住宅を建てるよりも既存の空き家を有効に活用する方が効率的と判断した。

空き家入居に月4万円補助 子育て世帯や高齢者 :日本経済新聞

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(画像引用元:空き家入居に月4万円補助 子育て世帯や高齢者 :日本経済新聞

ただ、課題はどれだけの空き家所有者が貸し出すことに前向きになるかは未知数です。

補助金を使って改修し登録した空き家を売却することになった場合の制約。
補助金を超える部分の家賃滞納のリスクと高齢者の孤独死による物件評価下落のリスク。
これらのデメリットとなる場合を考慮すると補助金をもらって登録することを躊躇する所有者も少なくないと考えられます。

空き家入居に月4万円 空き家問題対策として成功するか? | JIJICO [ジジコ] - 毎朝3分の知恵チャージ

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