空き家活用や中古住宅のリノベーションに取り組む企業が増えてきた
空き家をリノベーションして新しい価値を付けて再販売するというビジネスは不動産・建築業界から既に結構出てきています。
ビルススタジオvol.1:空き家と妄想。|栃木県 宇都宮市|「colocal コロカル」ローカルを学ぶ・暮らす・旅する
これらの空き家活用や中古住宅のリノベーションの取組はとても重要で、今後ますます拡充していって欲しいです。一方で、空き家問題の解決という目的が最初にあって事業スタートしているNPOもたくさん出てきています。
街の良さを活かしきれていない尾道の空き家を再生する「NPO法人尾道空き家再生プロジェクト」
空き家再生のNPOといえば全国的に有名なのが「NPO法人尾道空き家再生プロジェクト」です。世田谷区などで空き家活用の先進事例として紹介されています。
「空き家・空室活用フォーラム」の開催結果について - 世田谷区
尾道空き家再生プロジェクトは広島県尾道で生まれ育ちツアーコンダクターの仕事で海外を飛び回ってきた豊田雅子さんが帰郷した際に感じた尾道という街に対する問題意識が原点にあります。
古いお寺や連なるレトロな家並み、海を見下ろす眺望、石畳、路地──
坂のまち・尾道の風景は数々の映像で紹介され、尾道の代名詞のように全国に伝えられています。しかしながら、そんな魅力満載の坂のまちには、300を超える空き家が存在し、その多くは長年の放置により廃屋化しています。立て替えや新築が不可能なロケーションにおいて、現存する空き家をいかに上手く活用し、後世に伝えていくかが最重要課題となっているのが現状です。
街元気 | 中心市街地活性化まちづくり情報サイトNPO法人 尾道空き家再生プロジェクト 豊田雅子「坂のまちに新たなコミュニティを創出する、住民主体の空き家再生まちづくり」
尾道といえば”坂の街”。そして山あり海ありと地理的条件にも恵まれ、古い歴史と町並みも残されています。その良さを活かしきれていない現状に危機感を覚え始めたと豊田さんは言います。
(写真引用元)
(写真引用元)
そこで”坂の街”尾道ならではである「斜面地に建てられた昭和初期の通称“ガウディハウス”と呼ばれる建物の再生」をスタートさせました。それをきっかけに、同じような思いを抱えていた若者が集まり2007年にNPO法人尾道空き家再生プロジェクトは発足しました。
(写真引用元)
空き家と”何か”を掛け合わせて新しい価値を生む
「空き家と”何か”を掛け合わせることでシナジー効果を生み出し空き家を再生する」というのがこのプロジェクトの主眼にあります。具体的には”5つの柱”であるコミュニティ、建築、環境、観光、アートの5つの視点から空き家を考えます。
”空き家と何かを掛け合わせる”って発想は大事ですね。他の空き家活用事例にも応用できるはずです。
担い手はプロジェクトに共感した若者たちが中心
プロジェクトのメンバーは、実際に空き家に住み始めた若者や学生、主婦、大学教授や建築士、職人さんといった専門家、アーティストや若手の経営者など、20〜30代のさまざまな職業の若者を中心に活動をしています。
地域を巻き込む、外部に開く
また、地域や外部の人たちに対するアプローチも積極的に行っています。「尾道建築塾」というまち歩きのイベントや現場での再生ワークショップの開催。荷物がぎっしり残っている空き家では「現地でチャリティ蚤の市」を行ない、家だけでなく中身もリユースしていく試みも。新築不可能な荒れ地は「空き地再生ピクニック」と題して手づくりの公園や花壇、菜園をつくる。
プロジェクトの継続に必要なのは地域の支えと若者のマンパワー
空き家の再生は不便な場所で辛い地味な作業を多いようですが、それをイベント的に盛り上げてやることで大勢で無理なくやっていくように仕掛けていくのがポイントだそうです。そういった体力的な仕事は若者の力が欠かせません。
このように空き家再生プロジェクトでは、地域の人の支えがあってこそ、ここまで活動を続けることができました。普通に考えたら不便な場所での辛い地味な作業の連続なのですが、それをいかに楽しく、いかにイベント的に盛り上げて、大勢で無理なくやっていけるような仕掛けをつくるかというのが、車の入らない大変な場所における活動のコツで、我々が工夫しているところです。
また、そのような場所なので、若い担い手のマンパワーは必須です。そのため、若者の目を引くように、ウェブやチラシなどのデザインには極力、力を入れるように心がけています。
街元気 | 中心市街地活性化まちづくり情報サイトNPO法人 尾道空き家再生プロジェクト 豊田雅子「坂のまちに新たなコミュニティを創出する、住民主体の空き家再生まちづくり」
尾道の空き家再生の過程がわかる動画があったので貼付けます。