個がばらばらになって生きていかなくてはいけない状況
- 50歳までに一度も結婚したことがない人の割合を示す「生涯未婚率」が過去最高(男性20.1%、女性10.6%)。
- シングルマザー世帯(母子家庭)は全国に123万8千世帯、収入が125万円に満たない「貧困層」の割合はおよそ半数の48.2%にのぼる。
- 2010年の時点で全国の65歳以上の単身世帯は約479万1千世帯で高齢者人口の16.4%にのぼる。
- 誰にも看取られず孤独死する人は全国で1年間に3万人近く。
- 予備軍的な中間状態の軽度認知障害も含めると862万人の高齢者(高齢者の4人に1人)は認知症という推計も。
このように一人で自律的に生きていくことが困難な人たちが増えています。このような状況の中、もはやセーフティネットとして同じような生活上の課題を抱えている人同士で一緒に暮らすということが広がっていくかもしれません。
生涯未婚率の上昇とか、シングルマザーの貧困などの問題、高齢者の単身世帯増加と孤独死、単身高齢者認知症問題などがあり、個がばらばらになって生きていかなきゃいけない状況になっていると。でもこの状況が放置されたまま、何十年も続くはずは絶対ないと僕は思うんです。国が何もしなくたって、絶対自律的に「これじゃとても生きていけないよ」ってみんな思うはず。今の30歳くらいの若い男女で「一生独身だ」とか言われていても、一生独身で孤独に死んでいくつもりなことはありえなくて。恋愛ができなくたって何だって、「最後はみんな寄り添って生きていきましょう」という選択になるはずだと思うんですよ。結婚しなくてもいいと思うんだけど、みんなが寄り集まって生きていく形態っていうのは自律的に生まれてくる。自然発生的に。
佐々木俊尚さんに未来の「住」を聞く - 「住みたいところにいろいろ住む」 (2) "住まい"のようなものが「擬似的な中間共同体」に | マイナビニュース
”住まい”のようなものが「擬似的な中間共同体」になると佐々木俊尚さんはおっしゃいます。
高齢者と若者の生活上の課題を解消するホームシェア
ちょうど最近「超高齢社会のホームシェア」というNHKの特集がありました。単身高齢者が増え続ける中、高齢者の自宅の空き部屋に大学生などの若者が住むという試みが紹介されていました。
単身高齢者にとってまだ介護の必要はなくても、体調の急変や防犯対策、災害時の対応など不安を感じています。
一方で若者にとっては家賃の高いワンルームマンションを借りるのは経済的な負担が大きい。
この両者とを結びつけることで互いのデメリットを解消しようというのが”世代間ホームシェア”です。
紹介されていたのは東京都文京区に暮らす81歳の単身高齢者の自宅に、近くの大学院に通う24歳の学生が一緒に住んでいる様子でした。
(画像引用元)
ただこの仕組みは仲を取り持つNPOなどのコーディネーターの存在が重要です。高齢者は早く寝る、深夜に若者が帰宅しシャワーの音で目が覚める、なんてことがあるようで、一緒に住む上でのルールを少しずつ作っていく作業が必要です。
「荻窪家族」という擬似的な中間共同体
東京都の荻窪駅から徒歩7分、今年早春オープンを目指して建設中の賃貸住宅「荻窪家族」はまさに多世代が住む賃貸住宅です。
さいしょに - 荻窪家族~地域に開くコミュニティ型集合住宅~
「荻窪家族プロジェクト」は代表の方の10年に及ぶ両親、義両親の介護の経験から生まれました。
父母の世代ならいざ知らず、これから先の世代は家族だけをあてにしてはいられない、ではどうしたら良いかを考えるようになりました。そこで考えたのは友人や地域の人達と繋がることで、互いに助け合う暮らしでした。家族以外の手助けがあれば年をとっても地域、我が家で暮らし続けるための力になるだろうと思ったのです」。
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