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「骨太の方針2019」に空き家の流通・利活用が掲げられている件

骨太の方針2019に空き家の流通・利活用が明記

 内閣府のウェブサイトに経済財政運営と改革の基本方針2019いわゆる「骨太の方針2019」のPDFが掲載されています。骨太の方針とは小泉純一郎政権時代の2001年に、官僚主導ではなく首相官邸が政治主導で予算をつくるために始まった政府の財政・経済政策の基本方針です*1。つまり、今後の国の政策の予算面の裏付けとなる非常に重要な指針です。そんな重要な指針の中に空き家の流通・利活用という文言がちゃんと含まれています。
 例えば、「5.重要課題への取組」として(7)暮らしの安全・安心>⑥住宅セーフティネットの充実等が含まれています。

多様なライフステージに対応した住まいの確保を目指すため、住宅確保要配慮者に対し、賃貸住宅等を活用した住宅セーフティネットの充実や居住支援による住まいと暮らしの一体的支援を図りつつ、誰もが安心して暮らせる良質な住環境の整備、住み替えへの支援、マンションの管理適正化・再生円滑化等を一体的に進める。空き家の利活用を図るとともに、住宅の良質化・省エネ化、リフォームの推進、不動産管理業の適正化等により、既存住宅市場を活性化させる。
経済財政運営と改革の基本方針2019 - 内閣府P.49

 また、後半にも所有者不明土地対策とセットでふれられています。

さらに、空き家等の流通・利活用に向け、地方自治体・不動産団体等の先進的取組や活用・除却への支援、情報の充実等を促進するとともに、所有者不明土地等の解消や有効活用に向け、基本方針等に基づき、新しい法制度の円滑な施行を図るとともに、土地の適切な利用・管理の確保や地籍調査を円滑かつ迅速に進めるための措置、所有者不明土地の発生を予防するための仕組み、所有者不明土地を円滑かつ適正に利用するた めの仕組み等について 2020年までに必要な制度改正の実現を目指すなど、期限を区切って対策を推進する。あわせて、遺言書保管制度の円滑な運用に向けた取組を進めるほか、 登記所備付地図の整備を推進するため、筆界特定制度の新たな活用策等についても検討を進める。 
経済財政運営と改革の基本方針2019 - 内閣府P.64

f:id:cbwinwin123:20190701083649p:plain(出典:https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/summary_ja.pdf

2020年度予算へ反映されるか

 今回の骨太の方針は来年度の予算編成の土台になります。2015年に施行された空き家対策特別措置法から4年が経ち、2018年度末で全市区町村の約6割となる1,051団体が空家等対策計画を策定しているように、確実に空き家に対する国および自治体による政策・施策は前進しています。引き続き、予算の裏付けの下、政策・施策を進めていく必要があります。

民間のプレーヤー不足

 一方で圧倒的に不足しているのが空き家活用や再生に取り組む民間のプレーヤーです。空き家が発生する背景や課題、国や自治体の取組、今後の見通しなどはほぼ出揃いました。次は具体的な実践をどれだけ仕掛けていけるかが重要です。

(追記)
 話題になっている金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の中でも「はじめに」の中に実は「空き家対策」という文言が含まれています。ちょっと唐突な印象を受けますが、それだけ政府としても空き家対策を重視している、ホットトピックとして認識していると捉えられなくもないです。

この構造変化に対応して、経済社会システムも変化していくことが求められ、政府全体の取組みとして、高齢者雇用の延長、年金・医療・介護 の制度改革、認知症施策、空き家対策など多くの政策が議論されているが、金融サービスもその例外ではなく、変化すべきシステムの一つである。
金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書の公表について:金融庁P.1