空き家活用の領域はNPOの主戦場
住宅市場で扱いきれない物件や住宅が空き家といえます。かたや行政が全ての空き家に対して税金を使って対策に乗り出すのも違います。つまり市場メカニズムの領域と行政の領域との中間にある全くの”私”でもない全くの”公”でもない”中間の領域”に空き家活用はあると考えます。この”中間の領域”には企業でもない、ましてや行政でもないプレーヤーの台頭が必要です。そう、「NPO」(Non Profit Organization)です。
ここでいうNPOは法人格に限らず広い意味でのNPOを指します。空き家活用はもとより、自殺の問題、病児保育、教育や高齢者福祉など企業や行政のサービスでまかなえきれない多様で複雑な課題の解決に挑戦している個人や団体全般です。
認定NPO制度の肝が廃止される!?
NPO法人制度は2段階あります。都道府県や政令市(所轄庁)から”認証”を受けて「法人格が付与」されてNPO法人になるのが第1段階。次に、同じく都道府県や政令市(所轄庁)から”認定”を受けて「税制優遇が付与」されて認定・仮認定NPO法人になれるのが第2段階。
認定NPOには税制優遇のメリットがあります。市民や企業からの寄付金が集まりやすくなる制度でNPOセクターの発展には欠かせません。
しかし今年4月、財務省が認定NPO制度の肝である、税額控除やみなし寄付を廃止しようとしているらしいです。
これを受け、2014年5月9日(金)夜、NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会による緊急イベントが開かれました。こちらのイベントレポートが詳しいです→
認定NPO法人制度は絶対に後退させてはいけない!! | Kobayashi Blog
認定NPO法人制度があぶない!?税制優遇はどうなるか? | NPO法人アカツキ
今回2回目のイベントが開催されるということで行ってきました。
NPO法・認定制度の3つの「あぶない」
何が「あぶない」のか。資料にはこうあります。
- 与党税制改正大綱での「検討」
- 法人税引き下げの余波を受ける可能性
- NPO法見直しが放置される可能性
以上の3点です。具体的に見ていくと、
1.与党税制改正大綱での「検討」
平成26年度税制改正大綱(平成25年12月12日)の検討事項として、寄付金税制における税額控除制度の再検討を打ち出しています。
4 寄附金税制については、これまでの制度拡充の効果等を踏まえ、所得控除による対応を基本としている所得税において税額控除を適用する場合の対象範囲等に ついての考え方や、控除の選択制の適否を含めた控除方式のあり方等について、 主要国の制度も参考にしつつ総合的に検討し、早期に具体的な結論を得る。
2.法人税引き下げの余波を受ける可能性
2014年4月に政府税制調査会が「租税特別措置法」の全面見直し・廃止・縮小の方向性を打ち出しました。
首相の諮問機関である政府税制調査会は今年四月、法人実効税率引き下げの代替財源として、特定業界や企業を対象にした特別な税の優遇措置(租税特別措置)を「ゼロベースで見直す」ことで一致。検討対象に認定NPO法人も入った。
検討事項として、認定NPO法人制度の税制優遇である、1)みなし寄付金、2)企業の寄付金損金算入特別枠、の2つが見直しの対象として挙げられています。
3.NPO法見直しが放置される可能性
さらに、2012年に施行された改正NPO法の見直し期限が2015年3月に迫っています。仮認定の特例の延長や認定用件の緩和など、重要な見直しが必要になるそうです。
ロビイングが鍵
現在、国会では議論が続いているようです。認定NPO制度の後退を防ぐために署名や要望を出していくことが重要です。
・・・・・
2014/6/5追記
イベントを主催した「NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」のウェブサイトに当日のイベントレポートが掲載されています。
シーズ、「どうする?NPO法・税制改正」を開催 | NPOWEB
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