空き家活用ビジネスに取り組むNPO団体の間で、インターネット上で寄付を募るクラウドファンディングによる資金調達が最近増えてきています。
クラウドファンディングとは、ある「志」を持った人や団体に対する資金を、ネットを通じて多数の支援者から収集し実現する手法。ここでのクラウドは「群集 (Crowd)」ファンディングは「資金調達(funding)」という意味。(Crowd Funding)
空き家をゲストハウスにするための改装費用
岐阜県郡上八幡。郡上八幡城のふもとに広がる情緒あふれる城下町、清流吉田川など豊かな自然、郡上おどり(徹夜おどり)や神楽など伝統文化が息づく街で空き家をゲストハウスにしようという取組です(今年4月にオープンしています!)
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発起人は青森出身で東京で働いてきた木村聖子さん。郡上の土地に魅力を感じて交流型ゲストハウス「まちやど」の立ち上げに至ったそうです。
誰でも気軽に郡上ぐらしが体験できる場所
移住と観光の間ぐらいの場所
暮らすように旅する、旅するように暮らす拠点の場所
都会(の人)と郡上(の人)の距離がぐーっと近くなるような場所
知らない人同士が集まって繫がって行ける場所
そんな場所があったら、うれしい人がたくさんいるんじゃないかな
そんな場所が今の郡上には必要なんじゃないかなこれまでいろんな場所で暮らしてきたよそ者の私なら、
そんな場所が作れるんじゃないかなそんな事をなんとなーく考えてたら
いろんなタイミングとご縁が重なって
【郡上八幡ゲストハウスまちやど】をOPENすることになっちゃったのです。
地方の魅力を発掘して外部にわかりやすく見せていくことで移住や旅行、観光を促すことが出来ると思います。都会へのアクセスもいいようで(名古屋まで車で1時間、東京までは高速バスと新幹線で2時間半)、完全移住とまではいかなくても週末移住、月一移住などの可能性もありますね。日本全国で空き家は増加していますから”二地域居住”、”一億総別荘”なんていう居住スタイルも十分可能性があると思います。
資金の使途は「水道工事、設備工事」が大きなウェイトを占めるようです。
目標金額は100万円で、最終的にパトロン113人で約127万円を集め目標達成されています。
郡上八幡の空家をゲストハウスにしたい!! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
空き家を活用した美術展覧会のフォトブック制作費用
山口県山口市を中心に活動している、衰退する伝統芸能や空き家などの地域文化資源を美術領域で再活用する試みを企画する団体である「Do a Front」。今年3月に空き家を使った現代美術展の様子を多くの人に、そして後世に伝え残すためのフォトブック制作費用を募りました。
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展覧会のテーマは「空き家の遊び方」。空き家というちょっと寂しい空間にスポットライトを当てることで見る人の記憶に残るような作品を展示するということだと思います。
資金の使途は印刷製本費、流通営業費、制作費など。
目標金額は20万円。サポーター33人で約24万円が集まり目標達成です。
空き家をアートで再活用!展覧会のフォトブック作成プロジェクト - FAAVO山口
空き家を活用した民間図書館の存続のための諸経費
千葉県船橋市で地元出身の若者が「船橋まるごと図書館プロジェクト」と題して、市内に30館の民間図書館を作ろうと取り組んでいます。しかしその中の一つの図書館である「船橋北口図書館」の存続が危ういということで光熱費・通信費などの諸経費を賄うために寄付を募りました。
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岡直樹さんが主宰する「NPO法人情報ステーション」は2006年から空き家や街のあらゆる空きスペースを使った民間図書館事業をスタートされています。空き家や空きスペースのオーナーである商店街振興会やホーム運営会社、管理組合などからの運営費を必要経費として当ててこれたそうです。しかし、赤字で閉館する図書館も出てきてしまいました。そして最も赤字額が多いのがクラウドファンディングの対象になった「船橋北口図書館」です。
目標金額は150万円。最終的に89人の支援があり約165万円が集まりまり図書館閉鎖は免れました。
しかし今後、継続的に利潤を生み出して事業を進展させていく必要があります。そこで「船橋みらい大学」という取組をスタートするなど事業継続・発展のために奮闘されています。
民間図書館らしい企画を生み続けた船橋北口図書館を助けて下さい!(情報ステーション・岡直樹) - READYFOR?
民間図書館の存続危機を救ったクラウドファンディング | 岡直樹
空き家を活用した「小規模保育」を全国に広める「白書」の出版費用
最後は病児保育や待機児童問題、そして働き方の問題などに取り組んでいる認定NPO法人フローレンスによるクラウドファンディングです。来年度から正式に制度化される「小規模保育」。しかしまだまだ保育関係者や行政関係者、そして保護者への理解が不十分です。そこで小規模保育のメリットや実態を多くの人に知ってもらうために「白書」を作ろうというものです。
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待機児童は都市部に集中していること、その大半が3歳未満の低年齢児であることから従来通りの広い敷地の保育園ではなく、小規模な保育所が各地域の生活圏内にあることで待機児童解消を目指す取組です。しかも空き家は増加している。こういった空き家に少し手を加えることでスピーディーに低コストで小規模保育所を立ち上げることが可能です。
目標金額は100万円でしたが早々に目標達成しています。
待機児童問題解決の奥の手「小規模保育」を全国に広める「白書」を出版したい! | NPO活動を支援する | ファンドレイジングサイト JustGiving(ジャストギビング)
おうち保育園 | 小規模保育園で、すべての子どもが良質な保育を受けられる社会へ
まとめ
見事に4つのクラウドファンディングサイトが登場しました。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)- クラウドファンディング
地域 × クラウドファンディング | FAAVO(ファーボ)
READYFOR? (レディーフォー) | クラウドファンディング
国内最大のクラウドファンディングサイト「ジャストギビング」 サービス開始以来初のリニューアルを実施 | プレスリリース | ファンドレイジングサイト JustGiving(ジャストギビング)
4つの事例を紹介しましたが、どの事例も積み重なってきたストーリーがありました。そうしたこれまで歩んできた道のりとこれからのビジョンに共感した人たちがクラウドファンディングなどで寄付をしているのではないかと思いました。寄付をすることで当事者性が芽生え、NPOが取り組んでいる社会的課題に目が向くようになったりします。そうして多くの人が社会的課題と向き合えば、課題解決の取組も広がっていくと思います。
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