- PLANETSの年末イベント@ニコニコ本社
- 国会議員は法律をつくるのがひとつの仕事だけれど、政府に対して質問をするのも仕事
- 漸進主義的なアップデートと新しいビジョンの提示は車の両輪
- ゲリラ戦で民主主義の回路にアクセスする(はだしのゲン、保育園一揆)
PLANETSの年末イベント@ニコニコ本社
昨年末に行われた宇野常寛さんが編集長を務める雑誌「PLANETS」のイベントについて気になったポイントをまとめます。このイベントは昨年刊行した対談集「静かなる革命へのブループリント」のメンバーがほぼ全員集合して8時間ぶっ通しで入れ替わり立ち代わりで行われたトークショーということでもうオールスターばかりでした。
その中でも病児保育や待機児童問題、障害児保育などに取り組むNPOフローレンスの駒崎弘樹さんとセッション22のラジオパーソナリティやシノドス編集長を務める荻上チキさんの回について取り上げます。
国会議員は法律をつくるのがひとつの仕事だけれど、政府に対して質問をするのも仕事
このイベント当日(12月13日)は衆議院議員選挙の投票日の前日ということもあって最初は”選挙に対する姿勢”のお話から。自民党はどうせ圧勝だろうけれど自民以外だとどこに入れればいいかわからないし、かといって投票しないのは嫌だし、というときにどうしたものかと。
そんなときは所属政党とは無関係に特定のジャンルに強くて国会質問を通して情報発信している議員に投票するのがいいと思います。
国会で質問してもらって政府の見解を引き出す、というテクニックが有効というお話が新鮮でした。
例えば国会議員白書を見て質問をどの位しているのかをチェックするという方法があります。
漸進主義的なアップデートと新しいビジョンの提示は車の両輪
次に「手洗いうがいをしっかりしましょう」に代表されるように地味だけど必要な啓蒙といった仕事をマスメディアはやっていくべきとしたうえで、言論シーンは”新しいビジョンを提示する”という機能も担わないといけないと宇野さんは言います。
そしてメディアの啓蒙的な役割として「論を鍛える」(社会観をアップデートするための議論)を重ねるということも重要だと荻上さん。
そして荻上チキさん的な漸進主義的なアップデートというのを実践でやっている駒崎さん。荻上さんはメディアで、駒崎さんは現場で社会のバグを自分の事業を辻てセーフティネットを作ってパッチをはめて行くスタイル。
ゲリラ戦で民主主義の回路にアクセスする(はだしのゲン、保育園一揆)
メディア以外のところでどうリベラルの拠点を作って行くのか、宇野さんはフローレンスは「生協2.0」になって「生活と運動」で市民文化を育てる回路を強化するべきではないかと言います。
そして駒崎さんは杉並区で2年前くらいにあった「保育園一揆」と「はだしのゲンの閉架処分」について異議申し立てや陳情、請願という技を使って(良くも悪くも)誰でも政治をハック(改変)することができるとおっしゃいます。
意義申し立てや陳情、請願という技があって、これは誰でもできるんだけれども、あまり知られていない。陳情は、地方議会に紙一枚出すだけで、話題を提起できるという制度で、実際にやるかやらないかはお任せ。一方請願というのは、その提言を背負ってくれる議員に託して提言する制度なんですね。請願のほうがちょっと強いんですが、両方とも日本国民であれば誰でもできる。
こんなにも簡単に、民主主義を実現できるツールがあるにも関わらず、誰もがやってない。やればいろんなことが変えられるわけで、僕はこうしたツールを紹介し、事例を積み上げて運動を広げていくみたいなことができたらいいなと思っています。
愛媛県松山市の図書館で「はだしのゲン」が閉架処分になったのは県外のおっさんが陳情した結果、議会では却下されましたが教育委員会で自主規制することになりました。
そのくらい個人が政治をハック(この場合は改変という意味ではない)することが出来てしまう。
こういうツールを使うことで意外と簡単に政治へのリアリティーが持てるということです。
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松江市での「はだしのゲン」閲覧制限に抗議するために、市議会に陳情書を提出しました | 駒崎弘樹公式サイト:病児・障害児・小規模保育のNPOフローレンス代表