親世代から子世代への家計金融資産の移転は国家的課題
今年度の税制改正では子供や孫が住宅を購入する際に、親が贈与できる金額が大きくなるなど、親から子への資産移転を活発化させようとする意図があります。
特に大きいのが、子供や孫が住宅を購入する際に、親が贈与できる金額が大きくなることです。これまでは、最大1000万円までが非課税となっていましたが、今回の大綱ではこの制度を2019年まで延長するとしています。特に2016年10月からの1年間は最大3000万円に拡大されますから、子供や孫の住宅購入が促進されることになるかもしれません。
親世代から子世代への資産移転については年々注目度が高まっています。というのも1650兆円の家計金融資産の66%のシェアを60歳以上が持つといわれていて、膨大な家計金融資産を循環させることで経済の活性化につながります。
親子間の資産移転についての問題は、年々注目度が高まっている。1650兆円(※1)の家計金融資産の66%(※2)のシェアを60歳以上が持つといわれ、また年金も潤沢な高齢層。一方、日本の終身雇用システムが崩れ、非正規雇用の増加のもと世帯年収が下がり続け、また将来の年金も期待できない若年層。親世代から子世代へのスムーズな資産移転は、国家的な課題と言える。
親世代から子世代への不動産資産の移転は2人に1人
住宅メーカー9社が共同で住宅建築を通したよりよい暮らしのありかたを提案することを目的とした「イエノミカタプロジェクト」では「相続に対する親子の意識調査」を実施しました。
事前に知っておきたい家の調査!注文住宅・ハウスメーカーの比較-イエノミカタ [住まいと相続]親子のキモチ調査
その結果、将来、「親の家に住むつもり」の子は13%にとどまり、”空き家予備軍”となりそうな「相続はするが、住むつもりはない」が23%、「わからない」が29%と、「親の家」の約5割は”空き家予備軍”です。
(画像引用元)
なおこの調査は50歳〜69歳の親世帯と結婚している25歳〜49歳の子世帯を対象としておこなわれています。親の家を相続する頃には子の側で新しい生活スタイルが確立されているケースが多いと思うので、そうなると親の家を相続しても仕事や子育てなどを考慮するとそのまま住むというのは現実的に難しいでしょう。
調査結果のまとめでは”空き家予備軍問題”について親子間で早めに話し合って対処方法を考えておくことを勧めています。
今回の調査結果から、親子間のコミュニケーションの必要性を改めて感じさせられました。 子が住宅を取得するタイミングで、
・“普通の日”に何気なく“住宅資金援助”を“生前贈与”という形で相談
・「親の家」についてどうするかを相談 することを、イエノミカタプロジェクトでは推奨致します。