子供の数は33年連続の減少
平成26年4月1日時点における全国の子供(15歳未満)の数は前年に比べ16万人減少し1633万人です。これは昭和57年から33年連続の減少で、過去最低です。
そう、子供の数は言わずもがな減っています。
総務省は、1人の女性が生む子供の数が大幅に増えない限り子供の数の減少は止まらないと説明している。
保育園の増設は社会的コストが高い
子育て支援策として育児休業や児童手当も大事ですが、それよりも長時間労働の解消、そして保育園や学童保育といった子供の預け先の確保が重要だと思います。しかし全国の待機児童数は昨年10月1日時点で43,184人(認可保育所に入所希望を出しておきながら入所できなかった児童)。NPO法人社会保証経済研究所代表の石川和男さんは潜在的にいる全ての待機児童数は「概ね180万人〜360万人」と試算しています。
では保育園を増設すればいいのではないかという単純な話では将来に負債を残しかねません。待機児童の8割は都市部に集中しています。そして都市部は地価が高く、そもそも空いている土地が少ないです。それに加え、子供の数は減り続けています。仮に土地があって保育園を新設出来ても5年後、10年後にその保育園のニーズが有り続けるとは限りません。子供がこれ以上増えない状況の中で保育園を増設することは将来の自治体財政負担につながったり、社会的コストが高まります。
空き家を活用した保育園に活路
神奈川県葉山町にある築50年の空き家を活用した保育園「風の子保育園」は人口減少時代における建物の新設に頼らない保育園整備の新しい方法として大きな可能性があります。
保育所の確保が町の描いたようには進まなかった葉山町では、地元のNPO法人が運営する保育所が一つのヒントになっている。
認可外の施設として06年に開所した同町一色の「風の子保育園」。ふすまが取り外されて広々とした和室を子どもたちが駆け回り、畳の上におもちゃを広げてはしゃいでいる。
活用しているのは、築約50年の空き家。生け垣に瓦屋根、玄関の近くには台所があり、「家のような環境で保育を」との方針にぴったりだった。1階で0~5歳児を受け入れ、2階は学童保育として小学生の放課後の居場所を提供する。
(空き家を活用した風の子保育園 。画像引用元はこちら。)
空き家が増加している現代において、所有者や近隣の理解、必要な改修、保育士などスタッフの確保など越えるべきハードルはありますが、建物の新設に比べれば低コストかつスピーディーに保育園を整備できます。子供が減って保育ニーズが無くなれば速やかに撤退し、保育ニーズのあるエリアの空き家に移動することも可能です。
NPOフローレンスの「おうち保育園」はまさに空き家などの既存ストックを活用した小規模保育のパイオニアです。