マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

再開発の裏にこそチャンスあり

先日久しぶりにイベントへ参加してきました。そのイベントとは豊島区空家活用シンポジウムです。空き家の有効活用に力点を置いた全国的にも珍しい条例である豊島区空家活用条例が今年4月1日から施行されることに伴うようで、区長の挨拶から始まり、条例概要説明、基調講演、パネルディスカッションという流れで2時間半でした。

f:id:豊島区空家活用シンポジウムの写真

空き家と空き家活用事業者を登録

この条例の特徴としてまず、空き家と空き家活用事業者を区に登録することができることが挙げられます。空き家を登録した所有者は、区の専門家派遣制度や活用支援事業者による相談から活用提案までワンストップで活用に向けた支援を無料で受けることができるとのこと。そして空き家活用事業者として登録を受けた事業者は区のウェブサイト上で公開されます。現状では全国の自治体で制定・施行されている空き家対策条例は活用というよりも老朽化した空き家の適正管理促進や場合によっては代執行による強制撤去ということが盛り込まれることが多く、こうした空き家活用を主眼とした登録制度を設けることは一定の価値があります。しかし、空き家所有者が自発的に登録に名乗りをあげてくれることは非常に稀だと思うので、この地域のこの空き家の所有者へ営業をかけるというか、そういったピンポイントで登録を働きかけていくことが重要かなと感じます。

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シェアハウス(家族的な住まい方)としての活用を認定する制度

次の特徴として家族的な住まい方の認定制度というのがあります。家族的な住まい方とはシェアハウスのことですね。居住数は4人以上、居住者は18歳以上、居室の床面積はそれぞれ7平方メートル以上であること、などの条件を満たして豊島区家族的な住まい方認定審議会からの認定を得て、区から認定済証が交付されるという流れです。認定を受けた後も、年1回以上、防災訓練を実施することや緊急事における連絡体制を確保することなどが必要になります。

区が想定する入居者のイメージとして、シングルマザーの女性同士が共同生活して子育てを助け合ったり、単身高齢者が学生と同居したりする事例を想定している。家賃はオーナーと入居者の話し合いで決める。空き家を利活用して、経済的に生活が苦しい人や学生らが安上がりに居住できる環境をつくる。

空き家をシェアハウスに 東京・豊島が条例案 :日本経済新聞

再開発の裏にこそチャンスあり

条例説明の後は千葉大学の小林秀樹教授による基調講演「シェア居住による空家活用の可能性〜住宅政策の新しい展開に向けて〜」、そしてパネルディスカッション「空家活用によるまちの再生〜空家活用から生まれるビジネスチャンス〜」でした。ここではパネルディスカッションで印象に残ったことを書きます。やっぱり面白かったのはLIFULL HOME'S総研の島原万丈さんのお話でした。身体性や関係性といった動詞で街の魅力を測る物差しとしての官能都市(センシュアスシティ)という研究レポートを引き合いに、池袋や渋谷などの再開発の裏側にこそチャンスがある、という言葉がこのイベントのハイライトでした。再開発事業で駅前に大きなビルが建って、中身はといえば1階から3階くらいまでは飲食店や銀行、コンビニ、クリニックなどが入る商業エリア、その上からはオフィスや住宅というのがありがちなわけですが、そんな再開発の裏路地とか裏通りとか裏側に面白いお店が少しずつ生まれているという。あと、大手ディベロッパーも新築ばかりでなく古ビルをリノベーションしたりもしているとのことで、ここら辺また調べよう。

PS.南池袋公園がとても綺麗になっていて、公園内には人気レストランも入っていて良い雰囲気でした。池袋の魅力がわかるこちらの記事もおすすめ。

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