マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

豊島区居住支援協議会主催「空き家・空き室活用説明会」に参加!part2

約3万戸の空き家

 

豊島区居住支援協議会が主催した「空き家・空き室活用説明会」に参加してきました。今回は空き家・空き室を活用した居住支援モデル事業の事例4つをまとめます。part1はこちら

 

総務省統計局が5年ごとに行っている「住宅・土地統計調査」の最新の数字によると豊島区の空き家総数は30,370戸。そのうち賃貸用の住宅は25,450戸、その他の住宅は3,720戸。空き家率は都内ワーストワンの15.8%です。主に賃貸マンションやアパートの空き室が多いのが特徴です。

 

空き家・空き室をどう活用して居住支援事業を行う?

 

当日いただいた資料に掲載されていた空き家・空き室を活用したシングルマザーや単身高齢者などに対する居住支援事業の事例は次の通りです。

 

・アパート→シングルマザー向け住宅

・一戸建て→コレクティブハウス

・空き部屋→ホームシェア

・空き店舗や古民家→コミュニティ拠点

・独身寮→自立支援施設

・複数のアパート→サテライト型住居

 

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NPO法人コミュニティランドスケープ

 

さて具体的な事例について書いていきます。当日は豊島区居住支援協議会から平成26年度居住支援モデル事業に選ばれた4つの団体から事業紹介のプレゼンがありました。まずはNPO法人コミュニティランドスケープです。

 

事業内容は単身高齢者や高齢者のみの世帯を対象に「コミュニティ・シニアシェアタウン」をつくる試みです。ウェブサイトはまだ作られていないようで(Facebookはありました)、具体的な取組はこれからってところでしょうか。資料には「コミュ二ティ・シニアシェアタウン事業」のコンセプトが書いてありました。

 

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一読しただけではちょっと具体像が沸きませんが、イメージとしては街に点在する空き家を改修してそこを拠点としてコミュニティを再構築し地域の共助を軸としたまちづくり、といった感じでしょうか。中身はNPO法人モクチン企画が携わる「地域善隣事業」に近いように思います。

 

NPO法人コレクティブハウジング社

 

次は地域のつながりづくりに空き家が生きる「タウンコレクティブ事業」に取り組むNPO法人コレクティブハウジング社です。”他世代が暮らすシェアハウス”といった感じがします。

 

私たちが提案するコレクティブハウジングとは、既成の家族概念、福祉概念、住宅概念にとらわれず、人と人との新しいかかわり方をつくりながら、より自由に、楽しく、安心安全に住み続ける暮らし方です。

それぞれが独立した専用の住居とみんなで使ういくつかの共用スペースを持ち、生活の一部を共同化する合理的な住まいです。 

自分や家族の生活は自立しつつも、血縁にこだわらない広く豊かな人間関係の中で暮らす住まいのかたちです。

コレクティブハウジングとは - NPOコレクティブハウジング社

 

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NPOコレクティブハウジング社

 

2002年からスタートした「松蔭コモンズプロジェクト(築150年の古民家でコレクティブ居住とその事業の可能性にチャレンジ)」(2010年3月終了)や2003年にオープンした「コレクティブハウスかんかん森」、2007年オープンの「コレクティブハウス巣鴨(スガモフラット)」、2009年オープンの「コレクティブハウス聖蹟」などなど都内に複数箇所コレクティブハウスを立ち上げています。

 

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プロジェクト一覧 - NPOコレクティブハウジング社

 

地域のコミュニティが希薄な場合、もはや血縁というつながりではなく生活上の課題をともにする同士でつながり、相互に補完し合うような暮らしが現実に生まれています。まとまって住めば生活費用も節約できるし、そこで生まれる関係性(社会資本)がセーフティネットとしもなります。

 

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なお資料によると、空き家・空き室ならなんでもいいわけではなく、規模、構造、地域などに条件をつけています。これは質を確保する上で必須です。

 

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としまシングルマザーズシェアライフプロジェクト

 

次はこちら、「としまシングルマザーズシェアライフプロジェクト」です。小さい子供を持つひとり親世帯は「住居を借りることができない」「子供を気軽に預けられない」「地域に子供と一緒に行ける場所が少ない」など課題は山積しています。そんなシングルマザー家庭を支援していこうというプロジェクトです。代表・企画者は自身もシングルマザーである河野敦子さん。シングルマザー世帯の住居、子育て、教育などの方面から支援することが目的です。シングルマザー世帯は住居が借りづらい、保証人の問題、家賃その他の費用の問題など切実です。

 

プレゼンでは2商店街の空き店舗などを活用し地域で子供たちを見守る場所をつくる”ために「南長崎地区における空き室の活用アンケート調査」を日本女子大学家政学部住居学科の定行研究室と共同で行われています。

 

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その結果、「空き室を利用したホームシェアより、空き家や空き店舗を利用した地域の保育支援の方がより現実的である」という結論を導き出しました。アンケートの中で「ホームシェアへの興味」が「少し興味がある」が20、「シングルマザー世帯に空き室を貸す意欲」が「場合によっては貸したい」が6で、「期限付きなら」や「1年後なら」「仲介者が入るなら」とアプローチ次第で空き室の有効活用は進みそうな感触を得ています。

 

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NPO法人リトルワンズ

 

最後はこれもひとり親世帯支援のNPO法人リトルワンズです。ウェブサイトの活動内容を見てみるとシングル向けの生活情報提供、子供の貧困啓発セミナーなどを行っています。資料によると板橋区や立川市に物件を確保していて、世田谷区では賃貸物件交渉中、杉並区では区議、区担当部部局、不動産担当者と意見交換中、だそうです。事業内容は、訪問相談か見守りまでの「伴走型サポート」がポイントです。

 

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川崎の事件しかり昨年のベビーシッターの事件しかり、ひとり親世帯のサポートはますます必要なサービスです。そこに余っている空き家を有効活用すればいいのではないか、という話です。

 

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NPO法人リトルワンズ

 

オーナーにとっては「家賃がちゃんと回収できのか」や「近隣や他の入居者と協調できるのか」といったことリスクと考えます。こうしたリスクを軽減するためにも今回紹介した4つのコーディネーターの存在はとても重要です。理解のあるオーナーさんとオーナーと入居者をつなぎ、双方のリスクを最大限軽減する役割を担います。

 

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