市内をまるごと図書館に
先日、千葉市で行われた空き家活用事業の公開プレゼンを聞いてきた帰りに”市内30ヵ所に民間図書館の設置を目指す「船橋まるごと図書館プロジェクト」”の様子を見てきました。
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空き家やマンションの空き室、商店街の空き店舗、ショッピングモール、商業ビル、パン屋、自動車販売店、酒屋、高齢者施設の空きスペースへ図書館を設置しています。
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目標の30館は市内の中学校数と同じくらいです。
市内の中学校と同数で、「がんばれば歩いていける距離」にひとつずつ配置するのが目標だからだ。
いまあるもの・人を結びつける
空き家を図書館にする仕組みですが、
空き家=場所
本=コンテンツ
ボランティアスタッフ=人
という地域や街にあるもの(空き家や空きスペースと寄贈された本)や生活している人(スタッフ)を結びつけるだけで(それが難しかったりもするけれど)新しいサービスを生み出している所が重要だと思います。ただの図書館ではなくて多世代・地域交流の場所として機能しています。
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実際に行ってきました。
船橋北口図書館。船橋駅から徒歩3分。
貸出や返却、蔵書の整理などは登録470人を超えるボランティアスタッフが担当。
公立図書館と公共図書館の違い
仕掛人であるNPO法人情報ステーションの岡直樹さんは”まちづくりのための交流施設”という新しい公共図書館像をイメージしています。
「僕たちの図書館は公立ではありませんが、誰にでも本を貸すので公共図書館ではあります。ただ、公立図書館は社会教育施設で、僕たちの図書館は町づくりのための交流施設ということ。だから、ここで食事してもらってもいいし、騒がしくない程度のおしゃべりもどんどんしてほしい。それは公立図書館では難しいですよね。僕たちは『今、ここに暮らしている人たち』を見ています」
資金調達が課題
図書館設置のオファーの受付やネーミングライツの応募を呼びかけていますが、年間1,500万円かかる運営費はいまだ赤字だそうです。今後はクラウドファンディングで支援を募るなど多くの人の共感と寄付を集めていくようです。
図書館は多機能な知的交流拠点に
近頃、公立図書館でも武雄市図書館や武蔵野プレイス、千代田区図書館などカフェや書店が併設されていたり、年中無休だったり、夜まで営業していたり、コンシェルジュがいたりと、民間サービスっぽくなってきています。加えて単純に読書する場所という機能だけでなく、学び、交流、情報発信、教育、子育て、福祉、NPO活動支援の場として機能拡張している事例も多いです。
NPO法人情報ステーションでは図書館でのミニ講演会「船橋みらい大学」という取組をスタートさせるなど継続的な事業運営を目指しています。
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ここまで来ると本だけではなくて”学び”や”知”というコンテンツを生み出しています。
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