世田谷区空き家活用フォーラムで感じた疑問
今年3月に開かれた世田谷区の空き家活用フォーラムのイベントレポート第3弾です。関連する過去記事はこちら。
「異世代ホームシェア」はまちづくりNPOの活動から始まった(NPO法人街ing)
江戸時代の古民家を改装してデイサービス、学童保育、スペース貸しを運営(和のいえ櫻井)
平成26年度世田谷らしい空き家等の地域貢献活用モデル採用団体の2団体についてまとめます。両団体とも”障害を持つ子供の居場所づくり”がテーマという点で共通しています。モデル団体となることで空き家の改修改修費用や備品購入費が最大200万円まで助成されます。
NPO法人にじのこ
NPO法人にじのこは、昭和54年(1979年)から世田谷区烏山地域に住む、発達障害のある子供を持つ母親たちによって活動がスタートされました。平成12年(2000年)にNPO法人化し、障害者のデイサービス事業を開始。平成26年9月から木造2階建ての一軒家(約100㎡)を児童発達支援の場として活用をスタートさせます。
ecomom[エコマム] 空き家を「地域の居場所」にしよう 世田谷区でプロジェクト始動
空き家活用への道のりは険しくて、「インターネットで1000件検索」や「理解のある不動産屋が大家を説得」など気力・体力とも振り絞ってきたそうです。
2014年9月、幼児グループの施設が移転。新しい拠点は、地元の不動産屋から紹介された築9年の空き家でした。「インターネットで1000件以上検索した後の“出会い”でした。不動産屋さんが理解のある方で、大家さんを説得してくれました」と経緯を語るにじのこ施設長の藤田あやさん。
助成金は子供たちが外で遊べるようにベランダの改修費に当てるそうです。
活動開始とちょうど同じ頃、「世田谷らしい空き家等地域貢献活用モデル」の存在を知りました。藤田さんはプレゼンテーションでこう訴えます。「今、子どもたちは室内遊びしかしていません。劣化したベランダを整備してフェンスを作れば、外の風に吹かれながら気持ちよく遊ぶ縁側になります。また庭に砂場を作って、地域の子どもたちにも遊んでもらいたいです」。
空き家を発達障害児のサポート施設として活用する事例はまだまだ少ないと思います。
凸凹Kidsすぺいす
二つ目は発達凸凹な子供たちの放課後の居場所「凸凹Kidsすぺいす」です。平成25年(2013年)10月に小学校の特別支援学級に勤務する支援員の方が、障害を持った子供たちの放課後の居場所、生活のスキルを学ぶ場が必要と考え、他のメンバーへ呼びかけ一般社団法人を発足します。
3階建ての店舗併用共同住宅の1階一部(元文房具店)を放課後等デイサービス施設として活用しています。
空き家物件登録件数をどうやって増やすかが鍵
世田谷区の空き家モデル事業ですが当初は1件(NPO法人にじのこ)のみしか応募がなかったようで、追加募集をしてようやく合計2件になったようです。しかも空き家物件の登録件数も芳しくない状況です。京都のように空き家を観光やアートと絡めて活用するのか、豊島区のように住宅困窮者のための居住支援として活用するのか、”世田谷らしい空き家の地域貢献”とは具体的に何か、空き家の活用で解決する社会的課題のテーマを絞る必要があります。エリアのニーズや土地や文化、歴史などを踏まえて設計していけばいいんじゃないかと思います。