マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

「異世代ホームシェア」はまちづくりNPOの活動から始まった(NPO法人街ing)

今年3月に開かれた世田谷区の空き家活用フォーラムのイベントレポート第2弾です。第1弾はこちら。一人暮らしの高齢者と大学生をつなぐホームシェアの試みであるNPO法人街ing本郷が取り組む「ひとつ屋根の下プロジェクト」についてまとめます。

 

f:id:cbwinwin123:20150414183316p:plain

 

「異世代ホームシェア」の注目度の高さ

 

子供の独立や配偶者の離別などで65歳以上の単身高齢者世帯は少なくとも2035年までは増加傾向です。すでに東京都の単身世帯の70%が”高齢女性単身世帯”とも言われています。さらに日本の持ち家率は約6割(2013年住宅・土地統計調査)で、世代が上になればなるほど持ち家率は上がります。

 

f:id:cbwinwin123:20150414190042p:plain

世代別の持ち家と借家の割合をグラフ化してみる(2015年)(最新) - ガベージニュース

 

何が言いたいかというと、高齢者のほとんどが持ち家なので、単身世帯になったときにいくつか部屋が余るということです。これは単身世帯では部屋の管理も大変ですし、何か不測の事態があったときに気軽に手助けを求められる人が側にいないという不安もあります。一方、大学生は長時間かけて通学したり、一人暮らしをしたとしても家賃が高くて大学の近くになんか借りられなかったりします。

 

この両者の不安や不満を空き部屋という遊休リソースを活用することで解消しようという取組が「ひとつ屋根の下プロジェクト」が実施している「異世代ホームシェア」です。

 

この「異世代ホームシェア」について以前ブログで書いたところ、ビッグイシュー・オンラインに転載していただいて大きな反響を呼びました。

 

仕掛け人は地元NPO「街ing本郷」代表理事の鮮魚店主

 

高齢者と大学生とをつなげる、しかも一緒に住むというとコミュニケーションコストが高いことは想像つきます。両者をつなげるマッチングの役割を担う人がとても重要です。仕掛け人は地域住民や学校、商店街をつなぐ参加型の地域コミュニティネットワークであるNPO法人街ing本郷です。平成22年に設立されました。その中心人物が家業の鮮魚店を継ぎ3代目となる代表理事の長谷川大さんです。

 

文京区本郷地区にある5つの商店会で抱えていた高齢化問題を解決する手法として、5つの商店会が協働することで総勢200もの加盟店で協力してイベントを開催したりして多くの人たちを巻き込んで来たそうです。そうした経験やノウハウを商店街の販促活動だけじゃなく、地域の活動にも広げられないか、と考えたことがNPO設立のきっっかけとなります。

(出典はしんきん経営情報2015年1月号より)

 

f:id:cbwinwin123:20150414193757p:plain

街ing本郷 - トップページ

 

地域の課題を解決し活性化する事業

 

NPO法人街ingは宅配サービス、ごみ回収、公園の清掃、ソーシャルビジネス関連の講習会、デイタルサイネージを使った広告事業などなど地域の課題解決や活性化へとつながる事業を展開しています。

 

実施する事業は多様だ。設立当初から実施するごみ収集事業では、行政による回収よりも低コストで回収を行う一方、 費用の一部を災害時用発電機の購入に充 てるなど、地域のメリットにつながるス キームを組んだ。各商店会で買った商品 をまとめて有料で宅配する宅配サービス事業は、近隣のニーズから生まれた。主に高齢者の買い物客の利用を想定していたが、店側が顧客宅への配達を依頼するという想定外のケースも出てきた。商店会の本業支援に貢献できたことになる。

(出典はしんきん経営情報2015年1月号より) 

 

文京区本郷には森鴎外や石川啄木などの文人たちのゆかりの地ということで積極的に情報発信もしています。

 

f:id:cbwinwin123:20150414195142p:plain

文人郷(ぶんじんきょう) 文人で街をつなげる、人がつながる

 

本郷に暮らすお母さんたちが中心になってつくったガイドマップ「本郷街図」 は充実度が半端ないです。

 

f:id:cbwinwin123:20150414195729p:plain

f:id:cbwinwin123:20150414195810p:plain

街ing本郷 - 活動報告 - 本郷街図

 

そして本郷のお店やそこで働く人にスポットを当てたローカルメディア「本郷百貨店」は見やすくていいですねー。

 

f:id:cbwinwin123:20150414200253p:plain

本郷百貨店

 

そんな数ある地域事業の中のひとつに異世代ホームシェア「ひとつ屋根の下プロジェクト」があるわけですね。

 

「ひとつ屋根の下」プロジェクトもまた、 今後の展開に期待がかかる。地域で暮らす元気な高齢者の自宅に、文京区内の大学に区外から通学していた大学生が同居。昼間はそれぞれ自由に行動し、夕方から夜にかけての時間帯を共に過ごすことが ルールだ。高齢者の見守りと地方出身の 学生の孤立防止など、さまざまなメリットが見込まれる。とはいえ、相性のよい パートナーを見つけなければならないし、部屋が空いていても片付けがおっくうな高齢者をサポートするなど、NPOとしてなすべきことは多い。まずは3カ月程度のテスト期間からスタートする予定だ。

(出典はしんきん経営情報2015年1月号より)