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2002年以来の更新!人口減少を見据えて東京の土地利用は量から質へ転換

東京の土地利用に関する基本方針が2002年以来の更新

東京の土地利用に関する基本方針について検討している東京都都市計画審議会土地利用調査特別委員会は2018年9月5日、東京都都市計画審議会に中間報告を行いました。2018年9月6日から10月5日まで、この中間報告に対する意見や提案を受け付けています。注目なのは、人口減少を見据えた具体的な誘導策として都心居住の「量から質への転換」が盛り込まれたことです。東京の土地利用に関する基本方針は2002年以来の更新です。2018年になってようやく将来の人口減少を正面から受け止める方向に舵を切りました。

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(出典:都政新報2018/9/11

中核広域拠点域に限る

ただし東京全域なわけではなくて、概ね環状7号線内側の区域である中核広域拠点域に限ります。このエリアは山手線内であり東京の核と言えるエリアです。具体策としては、

  • 高齢者向け住宅や外国人のニーズ等を踏まえた住宅など多様なライフスタイルに対応した住宅供給を誘導する
  • 木造住宅密集地域の再生や高経年マンションの機能更新

などです。

○ 都心居住推進策の見直し
これまで、職住近接などを図るため、センター・コア・エリアにおける住宅の整備に対して、特段に容積率を割り増し、都心居住を推進してきた。その結果、夜間人口が回復するなど一定の成果を得たが、人口の推移や住宅ストック の形成状況、都心の利便性を生かした様々な居住ニーズを踏まえながら、高齢化や国際化等に的確に対応するため、これまでの量的拡大から質の向上へ住宅施策を転換するべきである。
そのため、前述した中枢広域拠点域における土地利用の誘導の方向とも整合を図りながら、国際ビジネス交流ゾーンや中核的な拠点等で、高齢者向け住宅や外国人のニーズ等を踏まえた住宅など多様なライフスタイルに対応した住宅供給を誘導するとともに、木造住宅密集地域の再生や高経年マンションの機能更新を図る必要がある。

東京における土地利用に関する基本方針について(都市づくりのグランドデザインを踏まえた土地利用のあり方)中間報告 P12

f:id:cbwinwin123:20180915220608p:plain(出典:東京における土地利用に関する基本方針について(都市づくりのグランドデザインを踏まえた土地利用のあり方)中間報告 P9)

中央区、江東区のタワマン規制も影響か

1997年の規制緩和で湾岸エリアではタワーマンションがたくさん新設されてきました。その結果、中央区や江東区では逆に人口が増えすぎ、タワマン建設の優遇措置を廃止する動きなどが出てきています。人口増はしたものの、保育園や小・中学校などの不足、鉄道や道路などの交通インフラ、スーパーなどの生活利便施設の整備が追いつかないなどという新たな問題が生まれました。こういった区の情勢も踏まえた今回の方向転換なのかなと思います。

東京都中央区は今夏にもマンションなどの住宅建設に対する容積率の緩和制度を廃止する。1990年代の都心空洞化で始めた住宅誘導政策を約20年ぶりに転換する。

住宅の容積率緩和廃止、人口増抑制へ 東京都中央区 :日本経済新聞

 今後、来年2月に東京都都市計画審議会へ答申される予定です。