- 空き家になった元蕎麦屋の古民家を
- 再活用してくれる人を募る説明会の実施がきっかけとなり
- 修繕や掃除を進める
- 地域住民が気軽に立ち寄れる場所
- 歴史を継承しつつ現代のニーズに合わせ地域に愛されるお店となる
空き家になった元蕎麦屋の古民家を
東京都大田区にある池上本門寺の西側の散策路にある古民家カフェ蓮月は、1933(昭和8)年築の古民家を改装し2015年10月にオープンした人気カフェです。映画「ふきげんな過去」の撮影現場として利用されたり、第1回大田区景観まちづくり賞を受賞するなど、ただのカフェではない存在感を放っています。カフェとしてオープンする前は1階は蓮月庵という蕎麦屋(1959年〜)、2階の座敷は結婚式や披露宴の会場として使われていた時代もあったそう。しかし店主の高齢により2014年に閉店し、その後は空き家となっていたところを地元の人達主体で保存プロジェクトが立ち上がりました。
そんな中、蓮月の今後を心配し見守っていた地元の人達が集まり、保存プロジェクトを起ち上げた。どうやって建物を活かし再生するかのアイディアを出し合い、検討がはじまったのだ。
建物は、住む人がなくなるとあっという間に老朽化が進むが、築年数の経過した建築物であれば尚更である。保存が危ぶまれる中、どういった経緯で古民家カフェ蓮月は誕生したのだろうか?
「古民家カフェ蓮月」の店長である輪島基史さんに話を伺った。
(出典:大田区池上の古民家カフェ 蓮月)外観からいい味が出ています
再活用してくれる人を募る説明会の実施がきっかけとなり
保存プロジェクトのメンバーの間では古民家をカフェにしたいという案が出ていました。そして蓮月庵が閉店した翌年の2015年2月、再活用してくれる人を募る説明会が開かれます。70人が集まりましたが、ちょうど説明会当日にご自身が経営していた古着屋をしめたばかりという、後に古民家カフェ蓮月の店長となる輪島基史さんに保存プロジェクトのメンバーからカフェ店長の打診がなされました。
「悩みましたが、こんな機会は滅多にないし、やったことが無いことに挑戦しよう!という想いもあり、引き受けました。古着屋を閉めた後、勉強をして3年くらいしたら小さな飲食店をやりたいとは思っていたんです。でもまさか、こんなに早くやることになるとは思ってもいませんでしたね…。」
(出典:ふきげんな過去 – 大田区池上の古民家カフェ 蓮月)映画「ふきげんな過去」のセットの様子
修繕や掃除を進める
古民家はこれまであまり大きな修繕を行ってこなったので修繕や掃除を繰り返す必要がありました。保存プロジェクトのリーダーとなった輪島さんは修繕や掃除をする中で、古民家をどう活用するべきかを考えます。その時に大事にしてたが「みんながやりたいことをやる」でした。元々は蕎麦屋だった古民家を保存したいという動機からスタートしているので、店の名前を引き継ぎ、改修も蕎麦屋の名残を活かすことにしました。
蓮月の店長である輪島さんは、店に関する全ての決定権を持っていると言っていい。だが、これまで保存プロジェクトに関わってきた人の意志を尊重し、ともに蓮月を守っていくことを一番の目的に取り組んだ。長年地域に溶け込んでいた建物であるからこそ、あえて大きく手を加えない。だからこそ保存プロジェクトの人たちと協力しオープンすることができだのだろう。
昭和8年築の古民家がカフェ蓮月として復活。保存プロジェクトの奮闘を聞いてきた
(出典:RENTAL – 大田区池上の古民家カフェ 蓮月)2階のレンタルルームは純和風の広々したお座敷
地域住民が気軽に立ち寄れる場所
古民家カフェ蓮月では学生向けに夏休み自習室を企画したり、「まなびや蓮月」と言って月〜木曜日の夜18時以降、若草色の暖簾が出ている時間帯は勉強や仕事(読書・趣味の学びも含む)をする方を対象とした空間になるなど、ただ飲食をする場所ではない役割を担っています。他にもイベントが開かれたりもしています。街の中の点在している空き家が蓮月のような空間に生まれ変わったら、日常生活の中に溶け込んで気軽に立ち寄りたくなると思います。
歴史を継承しつつ現代のニーズに合わせ地域に愛されるお店となる
肝心のメニューを見てみるととても充実しています。モーニング、ランチ、ディナーまで用意していて、メニューも豊富。厚切り照り豚丼なんてボリュームたっぷりです。ディナータイムはお酒やおつまみも充実しています。これまでの蕎麦屋としての歴史を継承しつつ、現代のニーズにあった飲食サービス、そして地域住民が立ち寄りたくなるような場所を目指すこと。今後長く地域で愛されるお店であり続けるために重要なことだろうと考えました。
大田区池上の古民家カフェ 蓮月
古民家カフェ蓮月 @東京都大田区池上(@ikegamirengetsu)さん | Twitter