認可保育施設に申し込んだ人のうち、4人に1人が1次選考に落選
朝日新聞の調査によると今年4月の入園に向け、全国72自治体で認可保育施設*1に申し込んだ人のうち、4人に1人が1次選考で落選したことがわかりました。落選者は合計で6万5千人超にも上ります。東京23区では平均で3人に1人が落選という結果です。本当に相変わらず待機児童問題は社会問題であり続けています。子育て環境を整えることは将来の持続可能な社会をつくる上でいの一番に取り組むべき課題なはずにもかかわらずです。
72自治体で計24万2377人が申し込み、26・9%にあたる6万5156人が落ちていた。前年は27・2%。申込者に占める落選者の割合を「落選率」として計算すると、最も高かったのは東京都港区(52・2%)。23区の落選率は6割の区で前年より改善したが、平均29・9%と、依然3人に1人が落選した。
(出典:保育園、4人に1人が落選 大都市圏外も深刻 朝日調査:朝日新聞デジタル)
保育施設は増えているが、希望者の増加に追いついていない
前年と比較可能な69自治体のうち、申し込みが増えたのは46自治体で、7割近かったそうです。その要因としては「共働き世帯の増加」が最も多い回答でした。次に日経新聞のこちらの記事によると、認可保育所定員が増えているにもかかわらず待機児童が減らない理由が5つ挙げられています。
- 募集増と申込増が追いかけっこ
- 「年齢」と「場所」のミスマッチ
- 少子化でも都心は未就学児が増
- 共働き世帯の保育需要が急上昇
- 足りない保育士、奪い合い続く
この5つの中で特に注目すべきなのは2の『「年齢」と「場所」のミスマッチ』です。待機児童数を年齢別に見ると0歳〜2歳という低年齢児が大半です。日経の記事では「足りない1歳児枠、余る5歳児枠」ということで年齢の違いによるミスマッチが紹介されています。
(出典:東京の待機児童、ゼロにならない5つのワケ:日本経済新聞)
さらに、「空きはあるのに待機児童が発生」 ということで、地域によっては空いている定員があるにもかかわらず、基礎自治体全体で見ると待機児童が発生してしまっている状況が紹介されています。基礎自治体の中でも保育需要の高い地域、低い地域がグラデーショナルに出ます。つまり、保育需要の高い地域を見極めて、ピンポイントで保育施設を整備することが重要になってきます。
(出典:東京の待機児童、ゼロにならない5つのワケ:日本経済新聞)
保育需要の高い地域へピンポイントに保育施設を整備できないか
保育需要の高い地域は得てして用地が見つけにくいという問題にぶち当たりがちです。そこで空き家を活用することの合理性が生まれます。既存の建物を活用することで新しく土地を取得して新築する手間も費用もかかりませんし、保育需要が低くなれば撤退もしやすいです。保育需要の高い地域の空き家を、定員5以下の家庭的保育、定員20人以上の認可保育所の中間に当たる小規模保育所(定員が6人以上19人以下)として活用できれば、場所のミスマッチは解消に加え、高まる保育需要に応えることにもつながります。子育て世帯が多く住むマンションの近くや駅の近くなどの地域にある空き家は待機児童問題を解決するために大きな潜在的価値があると言えます。
(出典:小規模保育とは? | NPO法人全国小規模保育協議会)
*1:施設の広さや保育士数、保育士資格者の割合などの国の基準を満たして認可され、国と自治体が補助する保育所。認定こども園、小規模保育園、保育ママなども含まれる。