空き家の流通は低調
1968年の住宅・土地統計調査で全国の世帯数(2,532万世帯)を住宅数(2,559万戸)が超えて以来、世帯数と住宅数の差は開き続け、※2008年の調査によると、全国の世帯数(4,997万世帯)に対し住宅数(5,759万戸)となっています。
※総務省住宅・土地統計調査は5年に1度の調査。最新の平成25年調査結果は7月から掲載される予定。
統計局ホームページ/平成25年住宅・土地統計調査 調査の結果
その中でも居住者のいない住宅が799万戸で、一時的使用33万戸、建築中9万戸を除く757万戸が空き家状態です。
空き家の分類を見てみるとあることに気が付く。757万戸のうち、別荘などの2次住宅が41万戸、住む人がいない住宅が268万戸に対して、賃貸・売却用の住宅が448万戸もある。貸したい・売りたいとされている物件がこれだけ余っているのだ。しかし、実際に流通しているのは17.1万戸しかない。これを上手く流通に乗せることができれば、空き家の減少はもちろん、塩漬けされた資産の有効活用にもなる。
毎年100万戸近くの新築物件が作られて、賃貸や売却用の既存住宅の流通については年間約17万戸です。既存住宅が住宅流通全体に占める割合は欧米諸国が70%前後であるのに比べ、日本は約13.5%と主に中古物件の流通が低調です。
空き家になる原因は不景気だから!?
「不景気だからモノが売れなくて〜・・・」っていうのは常套句というか上手く行かないときの決まり文句みたいなものなのかもしれません。
塩漬けとなったままの賃貸・売買目的の不動産が多い理由として真っ先に挙げられるのは景気の問題。東急東横線沿線で不動産業を営む男性は「駅前は賑わっているけど、ちょっと歩けば空室だらけ。貸したい、売りたいという人が10だとすれば、実際に探しているのは3くらい」と話す。景気が低迷するなかで、引っ越しする人や不動産を購入する人が減っていると見立てる。
国土交通省の空き家実態調査でも賃貸・売買目的の物件の売却先や入居者が決まらない原因については、「市況が悪いため」が 最も多くなっています。
しかし、不景気だから売れないと愚痴っていても始まらない。解決の糸口は「リノベーションで価値を高める」と「建築会社と不動産屋との縦割り住宅産業の打破」。
リノベーションで”中古物件に付加価値”を、”物件選びからリノベーションまで”をワンストップで
中古物件の構造躯体の更新・改修や間取り、内外装などを刷新することでバラエティに富んだ住宅に生まれ変わらせることで中古の空き家が再生されます。
リノベーションとは|リノベーションについて|一般社団法人 リノベーション住宅推進協議会
そして、中古物件選びからリノベーションの提案から完成まで通して行う”ワンストップサービス”を実践する事業者が増えてきています。
眠れる宝を掘り起こせ! “空き家”ビジネス|特集まるごと|NHKニュース おはよう日本
「空き家活用ビジネス」の事例紹介
(1)中古不動産売買の仲介、賃貸物件の仲介を手がけるスタイルアンドデコ
ポイントとしては、
取締役の天井理絵氏は「箱に収まるのではなく、自分らしい形で住みたいというニーズは多い」と話す。ただ、個人でリフォームするといっても、リフォーム業者に自分の思いを伝え、形にして行くのは簡単ではない。スタイルアンドデコでは、建築家やリフォーム会社の間に立って工事が完了するまでサポートするほか、完成後は家具のセレクトまで手伝う。
自分ごのみに家や部屋をアレンジしたいという人は多い。しかし、リフォーム業者に相談してそれを形にしていくのは時間も手間もかなりかかりそう・・と考える人向けには最適なサービスです。
(2)”不動産のセレクトショップ”と銘打つウェブサイト「東京R不動産」を運営するスピーク
東京R不動産では「レトロな味わい」「郊外/リラックス」「お得なワケあり」「改装OK」等々、物件の特長ごとにカテゴライズして紹介されている。「新築の分譲住宅は、ニーズの最大公約数で造られるため、どうしても画一化する」(同)ため、それ以外の部分に価値を感じる人のニーズはこぼれ落ちてしまう。そのニーズに応えることこそ、不動産のセレクトショップたる所以だ。
「東京R不動産」のウェブサイトに、20年間空き家だった戸建て住宅が半年で賃貸物件に生まれ変わった事例が掲載してあります。
この事例ではオーナーさんの意向としては「個人オフィスとして貸し出す」でしたが、「用途地域上、オフィスとして貸し出せない」という制約があったようです。
ここらへん都市計画関連の法律や制度についての知識は空き家活用を実践する上で押さえておく必要がありそうです。
「空き家ビジネス」は始まったばかり
2つしか事例を紹介していませんが、ほかにも多くのサービスが生まれています。そこらへんのことは次回書きます。