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「借主負担DIYの賃貸借契約」は貸主・借主双方にとってメリットがある(個人住宅の空き家活用促進のために)

「借主負担DIYの賃貸借契約」を知っていますか?

 

全国の空き家総数約760万戸のうち不動産市場に出ていない個人住宅は約270万戸もあります。しかし、空き家の35%を占める個人住宅の賃貸流通についてのルールや指針は整備されていませんでした

 

そこで、個人住宅の空き家の賃貸流通促進を目的に国土交通省は今年3月、貸主が修繕を行わず現状有姿のまま賃貸し(賃料を相場より安く設定)、借主が自費で修繕やDIYを行う借主負担型の賃貸借契約の指針を新たに策定しました

個人住宅の空き家活用の鍵は「借主DIYによる修繕・改修」と「定期借家制度の利用」 - 空き家の活用で社会的課題を解決するブログ

 

そもそも空き家活用の領域では「借主負担DIY賃貸借契約」は当たり前!?

 

例えば、京都で京町家(空き家)を芸術家の居住・制作・発表の場として活用している「東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)」は安く借りて、改修は「セルフリノベーション」することで貸し手と借り手の双方がWin-Winの関係を作れている。

 

<2014年6月7日に開かれた「京都×空き家×まちづくり」〜京都だからできる空き家活用の可能性、空き家をきっかけとしたまちづくり〜の中で”空き家活用を実際に進めるにあたっての経過・課題・工夫等”について聞かれたときの「HAPS」ディレクターの芦立さんのコメント>

アーティストは使うのが上手で技術を持っているが,お金がない。そのため,安く借りて改修は自分たちで行うことで,アーティストはコストが安く使い方に合わせた改修ができるし,オーナーも改修費が少なくて済み,利点がマッチする

京都市:「京都×空き家×まちづくり」イベント(午後の部 6月7日開催)実施報告

 

「借主負担DIYの賃貸借」は空き家を自分たち好みの内装や間取りにしたい人たちにとっては工夫次第でいかようにも”カスタマイズ”出来ます。その結果、建物への愛着が沸き、長く大事に使っていこうという想いも芽生えると思います。これが持続可能な社会を実現するために大切な視点です。

 

HAPSオフィスの物件は,最初の見積りでは最低2,000万円かかるといわれたが,オフィスとして使いたい思いが強く,自分たちで改修のワークショップを行いながら進めている。自分たちでリノベーションしたい意識を持つ人は多く,また自分で手をいれることで,建物への愛着が強くなる

京都市:「京都×空き家×まちづくり」イベント(午後の部 6月7日開催)実施報告

 

貸主にとっても「借主負担DIY賃貸借」はメリットがあります。通常、賃貸借する場合、借主は普通に住める状態にする必要がありますので、いざ賃貸に出すときには改修が必要になる場合もある。とかく空き家になっているぐらいですから老朽化していたりで改修費用もかなりする。でも空き家のままにしておくのはちょっと・・・。という個人住宅の空き家オーナーさんのジレンマを解消する方策になります。

 

なぜ多くの人は「賃貸」ではなく「持ち家」を選ぶのか?

 

昨年、持ち家志向は12年ぶりに8割を切りました。しかし世の中の大半は持ち家志向であることには変わりません。リクルート住まいカンパニーが今年4月に行った「賃貸住宅におけるDIY意向調査」においても、現在賃貸住宅に住む人に、今後の住まいをは賃貸か持ち家かを聞いたところ、持ち家志向が過半数を超えました。で、持ち家志向の人にその理由を聞いたところ、

  • 好みの間取りや広さの住宅を手に入れられるから(86.9%)
  • 設備を自由に決めたり、リフォームが自由にできるから(77.7%)

など、「好み」「自由」に関する項目が上位に入っています。

DIYをあきらめた人は約2割。賃貸の不自由を解消する「借主負担DIY型」とは (SUUMOジャーナル) - Yahoo!ニュース

 

そう。自分で自由に好みのカスタマイズができるから持ち家を選ぶ人が多いのです。

 

「だったらカスタマイズ自由な賃貸物件を増やせば良い」「借主負担DIY型の賃貸借契約のルールや指針を示すから個人住宅の貸主さんと借主さんは利用してね」ということで国土交通省も動いたというわけなんですね。

 

「借主負担DIY賃貸借」の普及のために

 

前述の「HAPS」では大工さんを講師に呼んで「改装ワークショップ」と題して入居する人たちを中心に協力して改修作業にあたったそうです。空き家を安く借りられたは良いけど、自分たちで(DIY)改修や修繕していくための知識やノウハウが必要ですが、ソーシャルメディアやクラウドソーシングを活用してみても面白いと思います。

 

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画像引用元) セルフリノベを皆で協力して楽しむ。

 

借主負担DIYの賃貸借契約の件数を地道に増やしていくことが重要です。

 

いま賃貸住宅を探しているなら、一定レベルのDIYやリフォームをしてよいか、交渉する余地はある。賃貸住宅のオンシーズンは年度末なので、いまのようなオフシーズンであれば、じっくり物件を探せるからだ。居住者のカスタマイズ志向が強まっていることは、賃貸住宅のオーナーも認識しつつあるので、交渉に応じてくれる可能性もある。

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東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)