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空き家を活用して新しい価値をつくる

危険で迷惑な空き家への固定資産税の優遇措置が撤廃される税制改正が反映されるのは2015年5月26日から

2015年度税制改正法案が閣議決定→国会提出

 

空き家関連の税制改正といえば、かねてから空き家の放置を助長していたと言われている”危険な空き家に対する固定資産税の優遇措置の撤廃”がようやく盛り込まれた、ということでNEWS PICKSでも話題になりました。

 

税制改正大綱に盛り込まれたはいいけれど、それからどうやって、いつから具体化していくのかが気になりますので調べてみました。

 

まず、2015年度税制改正法案は2月17日に閣議決定し国会に提出されました。国会で審議の上、3月末までの成立を目指します。

 

政府は17日、2015年度税制改正の関連法案を閣議決定した。消費税率を10%に引き上げる時期を17年4月に延期することや、法人税の実効税率を現在の34.62%(標準税率)から15~16年度に3.29%以上引き下げることを盛り込んだ。

法案は今国会に提出し、3月末までの成立を目指す。デフレ脱却や企業の投資を促す税制改正を中心に盛り込んだ。

税制関連法案を閣議決定 消費税率10%を17年4月に延期 :日本経済新聞

 

空き家にも適用されている固定資産税の優遇措置の根拠は何?

 

空き家でも固定資産税の優遇措置が適用されているのはなぜなのかはこちらの記事をご覧いただくとして、その根拠はどこにあるのかを今一度確認したところ地方税法349条の3の2でうたわれていました。

 

<地方税法>

(住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例)

第三百四十九条の三の二  専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの(前条(第十二項を除く。)の規定の適用を受けるものを除く。以下この条、次条第一項、第三百五十二条の二第一項及び第三項並びに第三百八十四条において「住宅用地」という。)に対して課する固定資産税の課税標準は、第三百四十九条及び前条第十二項の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の三分の一の額とする。

  住宅用地のうち、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める住宅用地に該当するもの(以下この項において「小規模住宅用地」という。)に対して課する固定資産税の課税標準は、第三百四十九条、前条第十二項及び前項の規定にかかわらず、当該小規模住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の六分の一の額とする

  住宅用地でその面積が二百平方メートル以下であるもの 当該住宅用地

  住宅用地でその面積が二百平方メートルを超えるもの 当該住宅用地の面積を当該住宅用地の上に存する住居で政令で定めるものの数(以下この条及び第三百八十四条第一項において「住居の数」という。)で除して得た面積が二百平方メートル以下であるものにあつては当該住宅用地、当該除して得た面積が二百平方メートルを超えるものにあつては二百平方メートルに当該住居の数を乗じて得た面積に相当する住宅用地

  前項に規定する住居の数の認定その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、総務省令で定める。

地方税法349条の3の2

 

(「住宅用地に対する特例措置」について詳しい説明はこちらへ。)

 

法律の条文って本当長ったらしいですねー。まぁ、ここで言いたいことは”空き家にも適用されてきた固定資産税の優遇措置は「地方税法」が根拠”ってことです。つまり近隣に悪影響を及ぼすような空き家には優遇措置を撤廃して実態に合わすためには地方税法を改正すればいいです。空き家の放置・増加を助長していた税制を改正することで地方税法をアップデートするわけです。

 

危険で迷惑な空き家への固定資産税の優遇措置の撤廃はいつ改正される?

 

税制改正法案がどのようなプロセスでいつ法律として成立して実行力を持つようになるのかググってみたところ、こちらの記事がとても参考になりました。

 

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平成27年度税制改正法案が閣議決定・国会提出と法案公開(2月17日) : 税制改正の実務ポイント

 

 そして地方税法の所管省庁である総務省のウェブサイトを見てみると、2月17日に「地方税法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されていることがわかりました。

 

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総務省|国会提出法案

 

まずは「概要」を見てみると、載っていました。「空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく勧告の対象になった特定空家等に係る土地を固定資産税の住宅用地特例の対象から除外。」しかも「原則 平成27年4月1日施行」とあります。

 

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地方税法等の一部を改正する法律案の概要:PDF

 

そして「新旧対照条文」を見てみると、空き家対策特別措置法14条2項により所有者に対し勧告がされた特定空き家の敷地になっている土地は優遇措置から除く、旨がうたわれています。傍線部分が改正部分です。

 

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地方税法等の一部を改正する法律案 新旧対照条文:PDF

 

さらに具体的にいつ反映されるのかを調べようと「要綱」を見てみると、まず18番目に空き家対策特別措置法14条2項により所有者に対し勧告がされた特定空き家の敷地になっている土地は優遇措置から除く、旨がうたわれています。

 

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地方税法等の一部を改正する法律案要綱:PDF

 

そして具体的な改正の時期については「空き家対策特別措置法附則第1項ただし書に規定する日から施行すること」と明記されています。

 

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地方税法等の一部を改正する法律案要綱:PDF

 

ということで「空き家対策特別措置法附則第1項ただし書」を確認してみました。

 

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空き家対策特別措置法:PDF

 

ただし書以下を読むと「公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」とあります。公布日が平成26年11月27日なので、そっから6ヶ月以内で政令で定める日に施行ということです。

 

この際なので「政令」も確認してみました。ついこないだの2月26日に一部施行され、残りは5月26日に施行される、とあります。

 

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空き家対策特別措置法の施行期日を定める政令:PDF

 

結論

 

何点か整理します。

 

・空き家対策特別措置法と危険で迷惑な空き家への固定資産税の優遇措置の撤廃はリンクしている

・空き家対策特別措置法が完全施行される2015年5月26日に優遇措置の撤廃も同じく施行される

・全ての空き家で優遇措置が撤廃になるわけではなく、「特定空き家」で「指導・助言」を市区町村から受けても改善をしない結果「勧告」を受けた場合に対象になる

・固定資産税は毎年1月1日に賦課されるため、猶予期間(空き家の活用や管理、解体など)はまだまだある