マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

空き家問題に対して不動産登記の専門家である司法書士ができること

空き家問題は住宅・不動産・建築業界や行政の間だけで騒がれているわけではありません。登記や相続など法律的なアプローチを専門とする司法書士業界でも今後、ますます話題に上ると思います。

 

東京司法書士会の広報誌「ファーロ」の最新号(2015春号)の特集で、空き家問題に対する司法書士の役割などが書かれています。

 

f:id:cbwinwin123:20150406205644p:plain

ファーロ(広報誌) | 東京司法書士会2015春号

 

司法書士の仕事

 

司法書士の仕事って何でしょう? 

 

私たち司法書士のおもな仕事は、「登記・供託」「裁判事務」「成年後見業務」などです。そのほかにも、身近な暮らしの法律トラブルを解決するお手伝いをしています。

司法書士の仕事 | 東京司法書士会 

 

「登記・供託」「裁判事務」「成年後見業務」。この中でダイレクトに空き家問題と関わってくるのは「登記」です。そこで「不動産登記」とは何か?

 

不動産登記とは、皆さんの大切な財産である土地や建物の物理的な状況・権利関係に変化が生じたときに、その旨を登記簿に記載して社会に公示することで、取引の安全を守る制度です。

司法書士は、このうち権利関係の登記について書類の作成や申請代理業務を行います。

司法書士の仕事 | 東京司法書士会

 

つまり不動産を登記することで権利が明確になり、安心して不動産取引が可能になる、それをサポートするのが司法書士の大きな業務の一つです。

 

「ファーロ」にも空き家問題に対して司法書士ができることとして「保存登記」や「相続登記」が挙げられています。登記をしっかりして権利者(所有者)が明確になっていれば空き家所有者へのアプローチもスムーズになります。

 

f:id:cbwinwin123:20150406212043p:plain

 

不動産登記には「表示に関する登記」と「権利に関する登記」の2種類がある

 

不動産登記は義務なのかと思いきや少し複雑です。 というのも「表示に関する登記」と「権利に関する登記」の2種類があって、「表示に関する登記」は義務ですが「権利に関する登記」は任意なのです。

 

この「権利に関する登記」が任意であることによって空き家の所有者が亡くなって子供に相続したときに、”権利者は亡くなった親のまま所有権は子供に移転している”という状態が生まれていまします。これが空き家所有者へのアプローチを難しくしている大きな原因の一つです。

 

そのため、所有権移転登記をどんどん進めていけば空き家の権利者と所有者が一致し、空き家管理や空き家活用の提案もしやすくなります。

 

相続登記や遺言書が空き家予防に重要

 

そして空き家予防のためには相続登記や遺言書といった権利関係を明確にしておく対応が重要です。

 

f:id:cbwinwin123:20150406214221p:plain

 

京都市では「おしかけ講座」という司法書士と京都市職員による出前授業のような事業が行われています。相談を待つというスタンスではなく、空き家所有者の懐に飛び込むこういった事業はいいですね。

 

この度,空き家が放置される要因の一つに挙げられる,相続が適切に行われず,所有者や管理者による合意形成が困難になるという問題を未然に予防するため,司法書士と京都市職員による「おしかけ講座」を開始しますので,お知らせします。

京都市:―司法書士と京都市職員が地域に出向き,空き家の予防につながる講座を開催しますー「おしかけ講座」の開催について【新規事業】