今週話題になっていたこちらのニュース。増田寛也氏を座長とする所有者不明土地問題研究会が中間整理を公表した結果、全国の所有者不明な土地の面積がなんと九州と同等になるようです。九州と同じだなんてすごい…
全国の土地の2割、所有者不明か 九州の面積上回る :日本経済新聞
有識者研究会:全国の土地2割、所有者不明
所有者不明、全国の2割=相続登記ない土地-民間会議:時事ドットコム
持ち主不明の土地、九州より広く 「満州国在住」登記も:朝日新聞デジタル
所有者不明土地、九州と同等の面積に | 最新不動産ニュースサイト「R.E.port」
所有者不明土地が全国の20.3%
所有者が分からない土地が全国の20.3%!総面積は約410万ヘクタール。所有者がわからないってことは活用はもってのほか、管理も行き届かない結果、荒廃してしまいがちでしょう。
土地の筆数でみた所有者不明率は20・3%となり、土地の種類別では宅地が14%、農地が18・5%、林地は25・7%だった。全国約10万筆を対象に、最後の登記から50年以上が経過し、所有者が不明になっている可能性がある土地の割合が22・4%になるとした法務省のサンプル調査と似た傾向となった。
(画像引用元:持ち主不明の土地、九州より広く 「満州国在住」登記も:朝日新聞デジタル)
土地の資産価値低下、相続登記されず
これだけ所有者不明土地が増えている背景には人口減少による土地の資産価値の低下、義務ではない相続登記の手続きなど、様々な要因が絡んでいます。人口減少はたくさんの社会的課題を生んでいて、人口増加し高度成長していた時期とは制度や意識も変えていかなくてはいけません。相続登記の手続きについても、登録免許税や固定資産税といった相続登記をした結果付随してくる税負担などを敬遠しているという現状に対し、制度の見直しが求められています。
これだけの土地が所有者不明とみられる背景には、人口減少で土地の資産価値が下がっていることがある。資産価値がなくても管理コストや登録免許税、固定資産税などの負担がかかるため、法定相続人がだれも相続登記せず、長年にわたって放置される構図だ。何十年も放置されると子や孫の代になって相続人がどんどん増えていき、事実上、相続も売却もできない「塩漬け物件」となる。
所有権から利用権へ
所有権はもちろん守られるべきですが、土地を荒廃され、健全な不動産取引を阻害するような場合はなんらかの制限が入ってしかるべきです。
空き家問題の根深さは絶対的・排他的な所有権の考え方にある - 空き家グッド
所有権をことさら死守するのではなく、時代に合わせて柔軟に制度をアップデートしていくことが必要です。つまり、長年塩漬けになっている土地なり建物はその利用権を認めるように制度改正が進めばいいと思います(もちろん利用する目的は吟味する)。
所有者不明の土地を巡っては、自民党が自治体などに利用権を認める新制度や、マイナンバーに所有する土地の情報を結び付ける仕組みの創設などを提言している。政府は近く関係省庁の検討会を設けて具体案の検討に入り、来年の通常国会で必要な立法措置を取る方針だ。
国土交通省でも
また、国土交通省でも予てから所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討を進めていて、市区町村などの職員向けのガイドラインも公表されています。所有者不明土地問題は空き家問題と似ています。土地も建物も人の一生よりも長く社会に残るものだとすると、必然的に公共性を帯びます。したがって所有権一辺倒ではなく第三者が目的いかんによっては利用できるという考え方のほうが実態に即しています。