京都市が倒壊する危険のある空き家の解体を開始
最終的には行政代執行※による空き家の解体撤去という踏み込んだ措置が可能となった空き家対策特別措置法が一部施行されて早2ヶ月が経ちました(本格施行は5/26)。今回はこの空き家対策特別措置法ではなく、建築基準法が根拠ということですが京都市内で初めて行政代執行による空き家の解体がスタートしました。
※行政代執行とは、義務者(この場合は空き家所有者)に代わり、行政がその義務(この場合は建物解体)を行い、その費用(この場合は解体費用)を義務者に請求するというものです。
京都市は30日、倒壊の恐れがあり、所有者に連絡がつかない同市上京区の空き家について、建築基準法に基づき行政代執行での解体を始めた。行政代執行による空き家の解体、撤去は京都市内で初めてとなる。
所有実態確認できず
解体を開始した空き家は木造平屋の住宅兼西陣織の工場(総面積67㎡)。京都市では登記簿を調べるなどして所有者の特定を行いました。その結果、登記上の所有者は2人いて1人は死亡、もう一人は連絡がつかず、と所有実態が確認できませんでした。
市は平成19年に建物の状況を把握。建物の登記簿などで名義人は確認できたものの、現在の所有者が特定できないため、本来踏むべき「指導」「勧告」「命令」の手続きをせず、行政代執行に踏み切った。撤去費用は約470万円で市が負担する。
固定資産税の課税事務のための情報の活用で進む空き家所有者の特定
自治体が空き家所有者を特定するにあたって、空き家対策特別措置法ができる前は固定資産税の課税事務のための情報を活用できなかったため、不動産登記簿を調べるなどしかできませんでした。しかし不動産登記といっても「表示に関する登記」と「権利に関する登記」の2種類があり、「権利に関する登記」は任意であるため、実際の空き家所有者を突き止めるのが困難でした。
しかし空き家対策特別措置法では自治体の内部で固定資産税の課税事務のための情報を活用することが可能になりました。自治体では固定資産税をちゃんと徴収する責務がありますので、たとえ空き家でも所有者を把握しているからです。具体的には固定資産台帳に載っている土地と建物の納税義務者の情報を自治体内の部署間で活用することができるようになりました。