「定期借家」制度導入の背景に「借主保護」に傾いた借家制度
ヤフーニュースに「定期借家」の解説記事が載っていました。うっすらと名前だけは知っていましたが、空き家の有効活用のヒントになりそうなので記事を紹介します。
「定期借家」ってどんなもの?誰にどういったメリットがある? (SUUMOジャーナル) - Yahoo!ニュース
「定期借家推進協議会」というところが、定期借家制度を解説したリーフレットを発行したそうです。ヤフーニュース掲載はこのリーフレット発行がきっかけかと思います。
「定期借家」とは何か?、メリットは何?
定期借家とは、契約期間に定めがある借家契約
終了。ではなく、
通常の借家契約(普通借家契約)では、借主保護の立場から、借主が継続して住むことを希望している場合には、貸主からの解約や更新の拒絶は、正当な事由(戻ってそこに住む必要がある、売らなければならないなど借家を明け渡してもらう理由)がない限りできない。このため、借家にせずに空き家のままにするなど、住宅の有効活用ができない実態があった。
そう。立場の弱い借主が不利にならないように「借主保護」をうたっていた「借地借家法」ですが、いつしか”過剰に”借主保護へ傾いてしまっていることが背景にあるようです。
民法では“契約の自由”を認めていますが、賃貸借契約において、一般に立場の弱い借主に不利な契約になりがち。そこで、借主と貸主の力関係のバランスをとるために規定されたのが、借地借家法でした。
ところが、もともと力関係のバランスをとるためのものであったはずが、借主保護へと傾きすぎてしまったために、地主さん達が貸し渋りはじめ、適切な土地の供給が維持できなくなってしまいました。
ということで、2000年から「定期借家」の制度が導入されました。
2000年に「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」の中で、定期借家権が導入され、一定の契約期間に達したら契約が終了する借家制度が誕生した。
「定期借家」のポイント
定期借家制度特有のポイントとしては、
- 契約期間に定めがあることを明示した書面による説明、書面による契約が求められる
- 1年未満の契約期間の定めも有効
- 一方で定期借家契約の期限が来ても、貸主と借主がともに合意すれば「再契約」も可能
などです。
つまり、「長期出張中の数ヶ月だけ貸したいんだけど〜」など、貸主の事情に応じて柔軟な使い勝手の良い借家制度が定期借家なのです。
上手に使えば「空き家の有効活用」につながる、けど・・・
じゃーバンバン定期借家にすれば少しの期間だけなら貸しても構わない大家さんと、半年とか1年間だけ借りたい人とをつなぐことができて空き家活用も進んで良いことづくめな気がしますが、そこはやはり「制度を作っただけで誰も使わない」というありがちな問題が存在するようです。このことはまた次回。
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