増え続ける空き家
全国の空き家率13.1%(2008年)。そして2028年には23.7%、2040年には43%にもなるとの予測が出ています。
新築造り過ぎニッポンが迎える 「空き家40パーセント時代」|マイホームはこうして選びなさい|ダイヤモンド・オンライン
不動産や建築を中心とする住宅業界はどのような問題意識を持っているのか?非常に挑戦的でラディカルな活動があることを見つけたので紹介します。
「ストック型住宅市場」への移行を目指す挑戦
「空き家活用」「中古住宅流通」「賃貸住宅流通」などのキーワードでググった末に見つけたウェブサイト「リクルート住まい研究所」。そこに今回ご紹介する「ハ会」という住宅業界横断プロジェクトの「活動報告書」が掲載されています。
で「ハ会」とは何か?
ソーシャルメディア上での対話をきっかけに始まった不動産・建築を中心とする業界有志による「ニッポンの住宅を考える」業界横断プロジェクトである「ハ会」。
ツイッター上での会話がきっかけで運動体まで作り上げる、なんてイマドキですね。共感が共感を生んで人がつながっていく(バイラル?)、感じでしょうか。
次に「ハ会」の目的は何か?
「ハ会」は、ストック型住宅市場への移行を阻害している既得権益と社会の既成概念及び思考停止を「破壊」するための連続シンポジウムを開催し、業界をあげて市場のあるべき姿を提案する議論の緒を開くことに挑んだ。
非常に挑戦的です。古臭い体質を引きずっている既存住宅業界の「既得権益」「既成概念」「思考停止」の破壊、古いOSのアップデートを起こすという革命的取組。
「中古」「新築」「賃貸」「都市」「総括」をテーマにシンポジウムを開催
「ハ会」では2010年6月から2011年2月にかけて、中古、新築、賃貸、都市、総括と毎回テーマを変えて5回シリーズのシンポジウムを開催し、各領域の課題を議論し改革の提案をしています。
既存住宅業界への”宣戦布告”
「住宅の資産化の方策を講じること」「地域別の住宅総量目安の設定」「地域別およびタイプ別の空き家率等の住宅過不足情報の作成と公開の義務化」など結構ラディカルな「住宅政策提言」をしています。このことは次回のブログに書くとして、今日のブログは「ハ会」の哲学というか理念に加え既存住宅業界の問題点を端的に表している「設立趣意書」の文章を引用して終わりたいと思います。
ハ会宣言
大きな物語は終わった・・・。
社会学的には70年代後半のことだと言われるが、生活者の実感としてはもう少し遅く、とは言え、80年代バブルが終焉の祭りだった。
ところが、日本の住宅・不動産業界は、未だに昭和に描いた「大きな物語」の夢から醒めないでいる。見渡せば、マスコミは新築着工数の減少をバッドニュースとして流し続け、業界と政治は、売り上げや景気対策の道具として、住宅や都市を考えることを止めない。
でも僕らはとっくに気づいている。どんどん建てて、どんどん売って、どんどん壊して、また建てる。そんなふうに「成長」し続けないと幸せになれない世の中に、本当の未来は来ないと思う。もうたくさん。そんなことより考えなきゃいけないこと、考えたいことが、たくさんあるんだから。
ニッポンの住宅を、重苦しい昭和の呪縛から解き放たなきゃいけない。同じ志をもった人は案外たくさんいる。みんなで考えて、議論して、行動して、住宅・不動産の『昭和」をきちんと終わらせてあげよう。そして21世紀へ行こう。
新築だ、中古だ、リフォームだ、賃貸だとバラバラにやってる場合じゃないよ。
景気対策として新築住宅建設は高い経済波及効果があるとされていますが、疑問を投げかける声もあります。
「新築住宅建設は高い経済波及効果」のウソ :マイホーム選び ここがツボ:貯蓄・ローン :マネー :日本経済新聞
さらに、宇野常寛さんらも言うように「大きな物語」はゆるやかに力を失っています。(「大きな物語」「ビッグブラザー」の壊死)
人口減少がトレンドな2010年代において、新築建設は縮小または真に必要な地域にとどめ、中古物件のリノベーションを普及・推進を盛り上げていくことが求められています。住宅業界内にこのような理念を掲げている人たちがいることは大きな希望だと思います。