「京都×空き家×まちづくり」〜京都だからできる空き家活用の可能性、空き家をきっかけとしたまちづくり〜2014年6月7日イベントレポート第6弾です。
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空き家をNPO活動などの公益へとマッチングする仕組み。
京町屋(空き家)をシェアハウスとして活用。
京町屋(空き家)を芸術家の居住・制作・展覧スペースとして活用。
”まちづくり”として空き家対策に取り組む地域の取組。
京都女子大学の井上准教授によるミニ講義「空き家が地域に及ぼす影響」。
「それぞれの立場からみた空き家×まちづくり」と題したトークセッションの中の今回は「行政」の立場からのお話です。
「京都市空き家の活用、適正管理等に関する条例」を平成26年4月から施行
地方自治体による「空き家適正管理条例」は2010年10月施行の所沢市を皮切りに全国へと波及していきました。2014年4月現在は全国の180を超える自治体で「空き家条例」が制定されています。
まずは京都市空き家条例の”目的”から見ていきます。
<目的>(第1条)
- 手入れされていない空き家は、地域の生活環境や景観に悪影響を及ぼす。
- 空き家の増加は、地域コミュニティや町の活力低下につながる。
このため条例では、
- 空き家の発生の予防
- 空き家の活用
- 空き家の適正な管理
- 跡地の利用
について定めています。そしてどのような成果を目指すかというと、
- 安心かつ安全な生活環境の確保
- 地域コミュニティの活性化
- まちづくり活動の推進
- 地域の良好な景観の保全
などにつなげていきます。
空き家を取り巻くさまざまな主体が協力する
次に、空き家の所有者、市民等、地域、NPOや大学、事業者、行政などそれぞれの責務と役割を示しています。これらの多様なプレイヤーが相互に協力することで空き家活用につながります。
「建築物」「空き家」の所有者・管理者へ空き家の発生の予防、活用、適正な管理を促す
空き家が放置される要因として、建物の老朽化が進み活用が困難、相続や登記が適切に行われず所有者や管理者がはっきりしないといったことなどがあります。このため、自らの住まいや建物について、居住中または使用中から維持管理をしっかりとする、現状に合わせて登記を変更する、引き継ぎ方をあらかじめ決めておくなど、長期間の空き家にならないっように対策をすることが重要です。
空き家活用のための改修工事に最大30万〜60万円の補助金が出る
ちょうど今年6月10日から受付を開始した新規事業です。
- ”とくに利用予定のない空き家を活用したい場合”は、修繕・模様替え、家財の撤去に要する費用の一部について最大30万円の補助金が出ます。京町家の場合は60万円。
→これは、市場に流通していない空き家を対象としたもので、空き家所有者の活用意向を後押しすることに主眼があります。
- ”地域のにぎわいや安心のために空き家を活用する場合”は、改修に要する費用の一部について最大60万円の補助金が出ます。京町家の場合は90万円。
→これは、留学生の住まいの確保、若手芸術家等の居住・制作・発表の場(例.HAPS)、京都版トキワ荘事業(マンガ家志望の若者のシェアハウス)、京町家のゲストハウス、地域連携型空き家流通促進事業による活用等を想定しているとのことです。京都市の政策目的に沿った空き家活用の取組をバックアップすることが主眼だと思います。
空き家活用を通した「まちづくりプロジェクト」に対し最大500万円の補助金が出る
新しい空き家の活用を通した京都ならではのまちづくりプロジェクトの提案を公募するそうです。選ばれた提案にはプロジェクトの実現のため最大500万円の補助金(空き家の改修等に要する費用の一部)が出ます。
専門家派遣、空き家相談は無料
空き家の状態を診断し、活用方法などのアドバイスを行う専門家を派遣。地域に身近な町の不動産屋による空き家相談窓口などはいずれも無料です。
「まちづくり×空き家」に取り組む地域や団体をサポート
”空き家対策はまちづくり”という考えをもって空き家の活用や適正管理などに取り組む地域や団体に対して人・モノ・金・情報などの支援を行います。
京都市:「平成26年度 京都市地域連携型空き家流通促進事業(空き家×まちづくり事業)」取組団体の募集について
空き家発生予防をテーマとした説明会・相談会(おしかけ講座)を実施
高齢者層が中心だと思いますが地域の集まりなどに司法書士などの専門家を京都市職員が直接足を運んで空き家発生の予防につながる情報を伝えます。相続等に関するミニ講座だそうです。
京都市:―司法書士と京都市職員が地域に出向き,空き家の予防につながる講座を開催しますー「おしかけ講座」の開催について【新規事業】
「京町家」というブランドを守る取組が盛ん
「京町家なんでも相談」「京町家カルテ」「京町家ファンド」などなど。京町家の保全に関しての取組はやはり盛んなようです。
京都市景観・まちづくりセンターという所には相談コーナーや資料スペースが充実していました。
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