「その他の住宅」の空き家が急増中
空き家が問題と一口に言っても、賃貸用や売却用の空き家ならば当然ある程度の管理はなされているはずなので、近隣に実害を及ぼしたりすることは少ないです(ただ、空き家が多いだけで街のイメージダウンになりますが)。では、不動産市場に出ていない主に個人住宅である「その他の住宅」ならばどうでしょうか。「その他の住宅」の空き家は全国に約318万戸。個人住宅であるため、住んでいれば問題はないです。しかしひとたび空き家になった場合、なかなか使われず、管理もされず長年放置されていると、近隣に悪影響を及ぼす特定空き家に指定され、行政代執行(強制撤去)の対象になる可能性が高まります。しかも、2008年〜2013年にかけて63万戸の空き家が増加しているのですが、そのうちの50万戸は「その他の住宅」の空き家です。
(画像引用元:国土交通省>社会資本整備審議会住宅宅地分科会(第42回)>【資料3】空き家の現状と論点(PDF形式:3.7MB))
「その他の住宅」の空き家のうち、腐朽・破損ありは約105万戸
平成25年住宅・土地統計調査を見てみると、約318万戸のうち腐朽・破損ありは約105万戸(33%)になります。さらに建て方で分けてみると、一戸建てが約82万戸、アパートやマンションが約15万戸です。おそらくはこの中の状態の悪いものが、特定空き家に指定されることになります。
(画像引用元:平成25年住宅・土地統計調査>確報集計>全国編>腐朽・破損の有無)
特定空き家予備軍はこれから増える一方
全国の空き家総数が約820万戸で、「その他の住宅」の空き家の腐朽・破損ありが約105万戸ですから、多めに見積もると全国の空き家の約13%が特定空き家予備軍と言えます。そして特定空き家に指定されると、行政代執行が視野に入ってくるわけですが、解体費用は所有者持ちです。空き家所有者は、近隣に悪影響を及ぼすくらい空き家を放置していると、最終的には自費で解体せざるを得なくなることは頭に入れておいて損はないです。
解体費用の問題
でも実際には、経済的に支払い困難だったり、所有者不明・相続放棄などといった理由で、特定空き家の解体費用は行政持ちとなっているケースも増えています。つまりどうしようもなくなった個人の所有物である空き家を、税金使って解体するというケースが増えていくということです。税金が絡んでくると、もはや個人の問題から全体の問題へ広がってきます。