空き家グッド

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空き家所有者の気持ちを解きほぐし愛着や思い入れに寄り添う!「解決!空き家問題 中川寛子著」読書メモ(7)

今回は中川寛子さんの「解決!空き家問題(ちくま新書)」の読書メモの第7回目です。過去記事はこちら。第1章は、空き家の現状と発生のメカニズムがテーマでした。第2章は、空き家の活用を阻む、「立地」「建物」「所有者」「相談先」の4つの障壁を解説されています。今回は4つのテーマのうち「所有者」について書かれているp.85-90をまとめます。 

論理的な解決は難しい「所有者」

空き家の活用を阻む障壁の3つ目は「所有者」の問題です(1つ目と2つ目は前回記事をご覧ください)。というのも2013年に行われた空き家所有者に対するアンケート調査によると、売却・譲渡先や賃貸住宅として借主を募集したり、不動産業者に相談するなどのアクションをしている所有者は少なく、71.0%の所有者は「特に何もしていない」と回答しています。もっぱら空き家を放置している所有者が大半ということなのです。

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(画像引用元:個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会資料第3回(平成25年12月2日)(資料9)消費者アンケート調査(速報)p.6)

特に何もしていない、といっても空き家所有者の84.5%は風通しや庭や敷地内の草取りなどの管理を行っていますので、建物の状態は良好な空き家が多いとも言えます。これは、空き家所有者の気持ちさえ前向きになれば空き家の流動化や活用につながるということを意味しています。

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(画像引用元:個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会資料第3回(平成25年12月2日)(資料9)消費者アンケート調査(速報)p.5)

空き家が放置される3つのケース

本の中では中川寛子さんがこれまで遭遇した空き家の例などから推察する、空き家放置の理由が3つ書かれてあります。

(1)適法ではない、放置期間が長く、建物自体が活用できないほど老朽化が進んでしまったなどというもの

このうちには共同相続が続いて、所有者が細分化されてもう分からなくなっている状態も含みます。そもそも貸すことが難しい空き家で、全体の1〜2割程度だろうかと書かれてあります。

(2)現在は誰も住んでいないけれど、いずれ帰ってくるかもしれないからそのままにしておきたいという理由から放置されているもの

例として、居住していた老母が長期に入院している、老人ホームなどの施設に入所した、子ども世帯と同居を始めた、などの場合です。いつかは不明確だけれど、必要なその日のために空き家のままにしておくということです。

(3)その家に対する愛着から、自分は住んでいないが、そのままにしておきたいというもの

盆や正月には帰る、仏壇があるから貸せない、売らないなどという場合です。(2)と合わせて全体の7〜8割はこうした、気持ちとして貸したくない、売りたくないから空き家のまま放置しているというものだろうと思うと書かれてあります。これはぼくの実感としても大きく、今まで愛着を持って住んできた家を赤の他人に売ったり貸したりしたくないという、戦後日本人の価値観なのではないかとも思います。他にも単純に面倒臭い、今やらなくても後でやればいいという先送りしたい気持ちも、大きいと思います。そうこうしているうちに建物は劣化していき、先送りにも慣れてきてしまいます。

空き家所有者の気持ちを解きほぐし、障壁を取り除く

こういった空き家放置の理由に対し、現場では空き家所有者の気持ちを解きほぐし、障壁を取り除き、空き家活用へとつなげている実例もたくさんあります。例えば中古住宅買取再販事業に取り組み不動産会社カチタスは、売る人はリフォームはもちろん、住宅内のゴミその他を処分する必要さえなく、現状そのままの姿で売ると決断さえすれば、最短で3週間ほどで現金化されます。

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(画像引用元:おうちを売りたい|中古住宅買い取りならカチタス

大事なのは家主や家族の思い入れに寄り添う気持ち

これまで生まれ育ってきた家ならば愛着や思い入れはあって当然です。たとえば空き家になったからといって、ビジネスライクに売却や賃貸に割り切れる人ばかりではありません。そのため、そういった家主や家族の気持ちを尊重し、家を大事にするという気持ちが伝われば売却や賃貸にもつながるのだと思います。これは非常に人間臭い事情が背景にあります。売却や賃貸に出せば収入がたくさん入りますよ、ということよりも先に、家を大事に引き継ぐ、という感覚や誠意がなにより必要になってきます。

空き家になる原因や空き家をそのまま放置する原因や理由は様々です。固定資産税の優遇措置の問題、相続で揉めている、貸しに出しても借り手がつかない、などなど。こうした経済的、法律的な事情も大きな要因なのですが、”赤の他人には貸したくない”という感情的・心情的な部分も大きな割合を占めていると思います。そもそも賃貸など不動産市場に出していない個人住宅なので当然といえば当然です。

空き家問題解決に必要な「家主や家族の思い入れ」に大切に寄り添う感覚 - 空き家グッド

借主募集中及び賃貸意向者の貸すにあたり心配な点

前半で空き家所有者の71.0%は「特に何もしていない」とご紹介しましたが、その方々の中の47.6%は賃貸の意向をお持ちです。借主募集中の空き家所有者と合わせて、貸すにあたって心配な点として、「貸し出すには相応のリフォームが必要なのではないか」や「一度貸し出すと、返してもらうのが大変なのではないか」、「入居者のマナーや家賃滞納の対応が大変なのではないか」といった不安の声が出てきました。

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(画像引用元:個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会資料第3回(平成25年12月2日)(資料9)消費者アンケート調査(速報)p.6)

 

(次回につづく)