中川寛子さんの記事から。空き家の売り手と買い手が集うウェブプラットホームサービスである「家いちば」と、何かと手間がかかる空き家の取引にかかる仲介手数料が増額されるというお話です。
シンプルな不動産取引が可能な「家いちば」
空き家の流通がなかなか進まない原因として、空き家の場所や建物の状態といった情報が見えてこないということが大きいです。不動産ポータルサイトに載せれば多くの人の目に届くってのも一理ありますが、仲介会社やら管理会社やらが出てきて複雑です。プレーヤーが増えるとその分出費も増えるし、空き家オーナーと買い手・借り手との距離も遠くなってしまう。その点、中川さんの記事で紹介されている「家いちば」は、シンプルに売りたい人が直接、物件情報を家いちばのサイトに登録して買いたい人は直接その情報を見て売り手に問い合わせることができます。もちろん契約の段階では、宅地建物取引士が細かい条件などをチェックして安全で円滑な取引をまとめてくれます。手数料は通常の場合の半額だそうです。
(画像引用元:家いちば 空き家売ります掲示板)
生活を引き継ぐ感じ
どんな物件が載っているかちょっと調べてみたら、かなり個別具体的な多様な事情がある物件ばかりです。祖父母が他界され、長男だった父が引き継いだが、その父も他界、残されたのは大きな空き家というこちらの場合は、物件概要から物件詳細、よくある質問の他に通勤情報、周辺情報などなど細かく情報が掲載されています。リビングの机や椅子、ピアノが置いてあったり、これまでの生活感が残っています。この物件を買うということは、中古物件を買うと一言で言えばそうなのですが、これまで住んでいた方の生活を引き継ぐ感じがします。
従来の不動産流通では残置物があるだけで扱ってもらえないと思われていたことを考えると、これまで弾かれていた物件が流通に乗るようになったのである。素人の文章、写真にアドバイスをしたり、校正するなどして読まれるようにしている点も大きい。
(画像引用元:家いちば 空き家売ります掲示版)
空き家の取引を促進するために仲介手数料を増額
不動産市場に出ていない空き家を流通させるって、空き家オーナーの特定からオーナーへの連絡から始まって非常に手間です。しかもいざ売買できても仲介手数料は通常の物件と同じ。それならわざわざ面倒くさい空き家を流通させようとは合理的に考えれば思わないわけです。そこで国土交通省では空き家売買の仲介手数料について見直しを進めています。全日本不動産協会から要望書が提出されたり、社会資本整備審議会産業分科会不動産部会「空き家対策等に係る中間とりまとめ(提言)」(2017年6月29日)の中でもふれられているなどもあったのか、11月30日までパブリックコメントが行われています。
1970年に建設省が公示した宅地建物取引業法第46条第1項の規定に基づく告示である「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」の一部を、宅地建物取引業者の費用負担の適正化に向け改定。「空き家等の売買又は交換の媒介をする場合の特例」および「空き家等の売買又は交換の代理をする場合の特例」を創設し、一定条件の空き家の売買又は交換の媒介およびその代理であって、通常の売買又は交換又はその代理と比較して現地調査等の費用を特別に要するものに関しての新たな規定を定める。
順調に行けば2018年1月から施行です。