マチノヨハク

空き家を活用して新しい価値をつくる

空き家がテレワークセンターに!多様で柔軟な働き方は空き家から生まれる(2/2)

今回は空き家がテレワークセンターに生まれ変わっている実例をご紹介します。テレワークセンターとは何か?といったことは前回記事をご覧ください。

子育てサロン タカサキチ

空き家となっていた群馬県高崎市内の築50年超、広さ72平米の平屋をサテライトオフィス兼子育てサロン「タカサキチ」に改修したのは一般社団法人コトハバです。

タカサキチは、「子育てと両立できる働き方」をサポートするテレワークセンターです。
妊娠や出産を機に仕事を離れたママたちに向けて、子育てをしながら在宅で働くノウハウやお仕事の機会創出のお手伝いしています。

子育てサロン タカサキチ | 子育てしやすい群馬県を目指して 一般社団法人コトハバ

空き家の改修費用に関しては高崎市の空き家活用促進改修助成金を活用して初期投資負担を軽減、さらに高崎市から子育てサロンの運営を受託しています(詳細はこちら)。改修費用500万円のうち3分の2はこの助成金で賄いました。床の張り替えや室内塗装などはボランティア等によるDIY、水回りなどは工務店に依頼しています。テレワークの他にも料理教室やヨガ教室、食事会やお茶会の会場としても活用されています(参考記事)。

f:id:cbwinwin123:20180804154236p:plain(出典:http://www.mlit.go.jp/crd/daisei/telework/docs/H28_zireisyuu.pdf

テレワークセンターMINAKAMI

群馬県利根郡みなかみ町で2017年4月に開設された「テレワークセンターMINAKAMI」は8つのサテライトオフィスとオープンスペースがあります。東京駅から新幹線で66分という立地で豊かな山自然に囲まれ温泉も楽しめます。元々は幼稚園で2016年に閉園となり、元保育室が広さ49平米のサテライトオフィスに、元遊戯室が広さ183平米のオープンスペースへと改修されました。運営主体は富士ゼロックス株式会社と前述した一般社団法人コトハバです。総務省による平成28年度ふるさとテレワーク補助事業によりテレワーク環境整備の補助が入っています。

f:id:cbwinwin123:20180804163109p:plain(出典:テレワークセンター MINAKAMI(みなかみ)

Trist

人口減少が進む中、危機感を持つ自治体ではシティプロモーションやシティセールスを展開し、転入人口や交流人口の増加、転出人口の抑制などを目指しています。中でも千葉県流山市では全国に先駆けマーケティング課を設置し、民間経験者の活用や共働き子育て世代をターゲットに絞ったマーケティングの手法の導入などにより転入人口の増加を実現しています。

f:id:cbwinwin123:20180805125916p:plain(出典:人口増加の秘密~シティセールスプランに基づくプロモーション活動~(流山市)/千葉県

そんな流山市で、元エステサロンだった空き家を改装し2016年5月、サテライトオフィス「Trist」がオープンしました。立ち上げたのは尾崎えり子氏。2児の子育てをしながら都内で仕事をしていましたが、地域活動も加わるともう続けられないと退職され、流山で仕事を探したものの今までの経験を活かせる仕事はなく、自分で会社を作ったそうです。

「会社設立後、民間学童保育のプロデュースや市主催の創業スクールで講義を行うなど地域で働きたいママの支援をしてきたのですが、その間で気づいたのは流山には優秀なママが多いということ。ところが、通勤がハードルになって能力も、意欲もあるのに働けない。現状では都内でバリバリ働くか、専業主婦になるかの二択しかないからです。だったら、その二択に加え、通勤が不要な働く場という新しい選択肢があっても良いのではないかと考えました」。

https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00503/

当初は自宅で仕事を続けていたそうですが、自己資金100万円、流山市による商店街空き店舗有効活用事業等補助金により100万円、クラウドファンディングで200万円余を工面し誕生したのがTristです。

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(出典:Trist -Station- について | Trist -トリスト-

通勤ラッシュの電車に乗って都内まで往復しなくても、都内の仕事が、家族の側で、地元でできる。そんな職住近接を目指して作られたサテライトオフィス。都内企業の誘致による雇用創出、人材育成による雇用支援、創業による雇用創出を目的としています。今年4月には2号店が出店しています。

企業が同施設を利用する流れを簡単に説明しよう。まず、流山市で説明会を開いて人材を確保し、社員として直接雇用する。その上で、企業はTristに座席料を支払って、社員になった女性たちにリモートワークをしてもらうことになる。初めはISパートナーズの5名だけだったサテライトオフィスワーカーは、いまや11社50名に上り、今年4月には2号店を出店したほどだ。

地方の離職主婦を戦力に!企業の「郊外オフィス」に自治体も注目 | inside Enterprise | ダイヤモンド・オンライン

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(出典:Trist -Station- について | Trist -トリスト-

さとやまオフィス鯖江

福井県鯖江市はオープンデータJK課など先見性のある取組を矢継ぎ早にやっている自治体です。空き家の利活用支援にも積極的に取り組んでいます。中でも、空き家を活用したサテライトオフィス事業が盛んです。

総務省の「お試しサテライトオフィスモデル事業」に採択され、昨年から都心の企業などを対象に空き家を解放し、短期滞在型の”お試しワーク”を募るなどしてきた。その結果、新たにIT関連企業4社がサテライトオフィスを設置。市は進出企業と協定を結んだり共同事業を展開するなど、新たな仕掛けに積極的だ。

IT企業のサテライトオフィス戦略。誘致進む鯖江の今 | SHIFT+LOCAL(シフトローカル) 

元旅館の「さとやまオフィス鯖江」は株式会社メンバーズの子会社である株式会社メンバーズエッジが今年4月から業務を開始しました。

f:id:cbwinwin123:20180805151321p:plain(出典:【子会社メンバーズエッジ】空き旅館をリノベーションし、福井の伝統工芸を取り入れた「さとやまオフィス鯖江」がオープン〜東京生まれ東京育ちのエンジニアが、開設に合わせ鯖江移住を実現。リモートワーク環境や地域との交流スペース活用で、エンジニアの心豊かな働き方を目指す〜|メンバーズについて|メンバーズ

鯖江サテライトオフィス

不動産情報サービスのLIFULLのグループ2社による空き家を活用した「鯖江サテライトオフィス」は今年1月にプレオープンしました。 2社はウェブ制作などを手がけていて、子育て中の女性などを雇用します。

木造2階建てで延べ床面積113平方メートルの建物を改装した。ウェブ制作の「SUI Products」(東京・千代田)とアプリ運営の「LIFULL FaM」(同)が使う。子育て中の母親が全社員のFaMの部分にはキッズスペースがあり、子連れで通える。

鯖江に遠隔オフィス LIFULL系2社、子育て女性ら雇用: 日本経済新聞 

f:id:cbwinwin123:20180805152533p:plain(出典:https://lifull-mp.co.jp/pdf/20180130.pdf

菱屋 街道シェアオフィス&スペース

施設開発コンサルの株式会社デキタが福井県若狭町の熊川宿の古民家を改修して今年4月にオープンさせたシェアオフィス「菱屋」はシェアオフィスの他にシェアスペースがあり、カラー複合機やプロジェクターなどの備品もバッチリです。

同社の時岡壮太社長が、若狭湾岸の嶺南地域の出身であることがきっかけとなった。民間企業が熊川宿の古民家をリノベーションするのは初めてという。木造2階建てで延べ床面積は270平方メートル。オフィスは6区画あり、うち4区画については立命館大学などへの賃貸が決まった。

福井の熊川宿にシェアオフィス 東京のコンサル、古民家を改修 :日本経済新聞

f:id:cbwinwin123:20180805153906p:plain(出典:菱屋 街道シェアオフィス & スペース