「京都×空き家×まちづくり」〜京都だからできる空き家活用の可能性、空き家をきっかけとしたまちづくり〜2014年6月7日イベントレポート第8弾(最終回)です。
関連の過去記事はこちら。
グループセッション「空き家×使う」「空き家×まちづくり」「空き家×未来」のまとめ。
京都市の空き家対策。
空き家をNPO活動などの公益へとマッチングする仕組み。
京町屋(空き家)をシェアハウスとして活用。
京町屋(空き家)を芸術家の居住・制作・展覧スペースとして活用。
”まちづくり”として空き家対策に取り組む地域の取組。
京都女子大学の井上准教授によるミニ講義「空き家が地域に及ぼす影響」。
今回は空き家活用”京都編”最終回ということで、イベントレポートではご紹介できなかった空き家活用の事例にふれつつ京都の「空き家対策×まちづくり」について自分なりの考察を書きます。
「京都」というブランド×空き家
今回約10年ぶりに京都へ行ってみて感じたこと、学んだことは主に3つです。
- 京都は相変わらず観光の街であること。
- 高齢化が空き家を発生させ、空き家の増加が高齢化を助長するというメカニズム。
- ”まちづくり”として空き家対策に取り組む人や団体がたくさんいること。
(京都一の繁華街・河原町の側の「四条通り」。橋の上は人がたくさん。鴨川沿いに腰を下ろす人たち。)
京都駅前にヨドバシカメラ、四条通沿いにマルイ、そしてスタバがたくさんあるなど東京となんら変わらない有名店が目立ちました。でもやはり修学旅行生や外国人もが多く歴史と文化の力はまだまだ健在なのだなとも思いました。京都の街並や商店、歴史的な寺社仏閣、おもてなしの文化など「京都ブランド」はやはり人を引きつける魅力を持っています。
空き家発生の主な要因は高齢化、そして空き家の増加が高齢化を助長する
京都女子大学の井上准教授は「空き家の発生要因は高齢化である」と京都市東山区六原地区の空き家調査において実証的に導きだしています。京都市の空き家率(平成20年住宅土地・統計調査)は14.1%。京都市内で最も空き家率の高い東山区は20.3%。東山区内の六原学区で行ったアンケート調査によれば、どのような理由で空き家になったかを質問した結果、高齢化によって独居高齢者が増加し、死亡あるいは親族による引き取りによって発生していることを明らかにしています。
「不明」と「無回答」を除けば、「単身者の死亡」と「親族による引き取り(老人福祉施設への入所を含む)」が多くを占めている。
つまり空き家は、高齢化によって独居老人が増え、死亡あるいは親族による引き取り等によって発生しているのである。
そして高齢化率が高い地区では空き家率も高いという結果が出ています。すなわち「高齢化」という条件があれば地方でも都市でも立地に関係なく空き家問題は発生しうると指摘しています。
- 東山区:高齢化率31.7%(1位)空き家率20.3%(1位)
- 上京区:高齢化率27.3%(2位)空き家率14.0%
- 北区:高齢化率25.3%(3位)空き家率16.8%(2位)
- 左京区:高齢化率24.8%(4位)空き家率15.5%(5位)
- 下京区:高齢化率23.6%(5位)空き家率16.0%(3位)
(京都市東山区の六原学区の住宅街。高齢化の波は全国共通。)
ただし、「不明」や「無回答」も同じくらいの比率ですので空き家の発生要因は高齢化だけとまで断定してしまうのは違うと思います。そうはいっても最も大きな要因であることには変わりはないと思いますが。
(画像引用元)
空き家の活用を通して社会のニーズをみたす
今回、京都の空き家を使って様々な取組やサービスを知りました。イベントで2件。それ以外で2件。
- 京町家をDIYで改修して芸術家のための居住・制作・発表の場として活用している「東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)」
- 京都御所の側の京町家を女性専用のシェアハウスへと改修して活用している「シェアハウスHASKA御所東」
- 空き家を若手漫画家志望者向けのシェアハウスとして活用している「京都版トキワ荘プロジェクト」
- 二条城の側の空き家でアジア多国籍料理として活用している「京都チャランケ/Jam house仏陀」
京都版トキワ荘
楽園酒家チャランケ
そして地域(自治連合会)が自律的にまちづくりとして空き家対策に取り組んでいること。
- 京都市で一番の高齢化率、空き家率の東山地区で空き家対策に取り組む「六原学区自治連合会」
- 六原学区以外でも京都市内の各地区で取り組まれている「京都市地域連携型空き家流通促進事業」
地域に実際に飛び込み空き家の実態調査を行うとともにアカデミックに空き家の原因や課題を分析している大学、研究者がいること。
遊休不動産を公益につなげるマッチングの仕組み。
関係機関をコーディネートする行政。
それぞれの強みを活かして相互にネットワークをつくることで持続的な「空き家対策×まちづくり」に取り組んでいけると思います。
おまけ