条文のポイントを整理する
空き家問題の解決に向けて「空き家対策特別措置法」は大きな後ろ盾になると思います。ということで16条ほどでそんなに長くない法律なので”逐条(法律の箇条を一つ一つ順に取り上げること)”してまとめます。
まず法律の正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」。条文と条文に対するコメントという感じで書いていきます。
目的(第1条)
この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、空家等に関する施策に関し、国による基本指針の策定、市町村(特別区を含む。第十条第二項を除き、以下同じ。)による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とする。
適切に管理されていない空き家が「防災」「衛生」「景観」といった「地域住民の生活環境」に悪影響を及ぼしている現状に対し、「地域住民の生命・身体・財産」の保護と「生活環境」の保全、そして「空き家の活用」を促進することが大目的というか一番達成したいことです。
次にその大目的を達成するために「空き家に関する施策」を推進していきます。具体的には国と市町村(地方自治体)でそれぞれ役割が違っていて、国は「基本方針の策定」を、市町村は「空き家対策計画の作成」「その他の空き家に関する施策を推進するために必要な事項」を作って空き家に関する施策を推進していくわけですね。ということで国が空き家対策の大枠を定めて、現場で実際に空き家対策に取り組んでいくのは市町村の役割ということになります。
定義(第2条)
(第1項)この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
(第2項)この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
条文では「空家等」って書いてあります。「等」ってなんだよ??っていつも思うんですよね法律の条文読むと。つまり「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)」です。個人住宅とその庭とか塀とかも含むということでしょう。
第2項では「特定空家等」が出てきました。これは上記の「空家等」に加えて「そのまま放置していると倒壊など著しく保安上危険となる可能性がある状態」や「著しく衛生上有害となる可能性がある状態」、「適切な管理がされていないため著しく景観を損なっている状態」、そして「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」といった要件を備えると「特定空家等」になります。いわゆる”危険で迷惑な空き家”がこれです。
空家等の所有者等の責務(第3条)
空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。
また「等」がたくさん。。わざと抽象的にボワッとさせることで柔軟性をもたせようということですがわかりづらくもなります。さて第3条は「空き家の所有者の責務」です。これは「周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないように空き家の適切な管理に努める」ことです。日頃から住宅や敷地のメンテナンスや点検が必要なわけです。不動産オーナーの責任は重大ですねぇ。
市町村の責務(第4条)
市町村は、第六条第一項に規定する空家等対策計画の作成及びこれに基づく空家等に関する対策の実施その他の空家等に関する必要な措置を適切に講ずるよう努めるも
のとする。
オーナーの次は市町村の責務です。「空き家対策計画の作成」「空き家対策の実施」「その他の空き家に関する必要な措置」に取り組むことですね。全国の全ての市町村で空き家対策が責任をもって行われるようになります。
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法律の全文はこちら。
切りがいいのでここまで。次は「国が定める基本方針」から書いていきます。
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