都市部の空き家問題と意識調査
佐々木俊尚さんやら、たくさんの方がコメントしていたこちらの記事「増える空き家、「スラム化」する老朽マンション 撤去費用を支払うのは誰か - Yahoo!ニュース」は、主に都市部の空き家問題について焦点を当てていたり、空き家を持っているか、または空き家になる可能性を感じるか?という意識調査もあり、読み応えのある内容です。
いまどんどん建ってるタワーマンションは30〜50年先、どうなるんだろうか。その未来を予測して計画は考えられてるんだろうか。いつも気になる問題。/増える空き家、「スラム化」する老朽マンション 撤去費用を支払うのは誰か https://t.co/Wqhg4w1XfJ
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) 2016年7月29日
(画像引用元:増える空き家、「スラム化」する老朽マンション 撤去費用を支払うのは誰か - Yahoo!ニュース)
都市部こそ空き家が多く、その8割以上はアパートやマンション
空き家問題というと、過疎地域で起きている問題だと思うかもしれませんが、空き家の”数”で見ると、都市部が圧倒的に多いです。下のグラフを見ると一目瞭然です。
最新の空き家調査の結果を『空き家率』ではなく『空き家数』で見てみました
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そして東京都の空き家数81万7千戸のうち、68万5千戸(約84%)はアパートやマンションといった共同住宅です。
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つまり、都市部(ここでは東京都に絞って記述します)はそもそも人口も住宅数も多いため空き家数も多い、その空き家の8割以上はアパートやマンションである、という特徴が都市部の空き家問題にはあります。
都市部の空き家問題は、建て替えできない、解体できない「老朽マンション」にある
記事の中では都市部の空き家問題の象徴的な事例として、建て替えも解体もできない「老朽マンション」の問題が取り上げられています。つまり、マンションの場合は所有者がたくさんいるため、建て替えや解体をするにも、所有者への連絡、説明、折衝など、合意形成に多大なコストがかかります。時間ばかりかかって、建物もどんどん老朽化していって放置、というパターンがもはや常態化しています。
分譲マンションの場合、修繕や建て替えには所有者の合意形成が欠かせない。だが、空室化・賃貸化の進んだマンションでは居住者・所有者が多様化するため、合意形成はスムーズに進まない。「こうして打つ手がないまま時間だけが過ぎ、極限まで老朽化したマンションは、人がまともに住めない空き家となり、管理もされずに放置される。いわゆるスラム化のリスクが高まるのです」(米山氏)。
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ほぼ9割の分譲マンションは建て替えできず、老朽マンションとして放置される
敷地や容積率に十分な余裕がある、管理組合が機能している、好立地、などの好条件がない限り、一度建ててしまったマンションの建て替えは難しいのが実情です。つまり、大半のマンションは空室になろうが、そのまま残り続けることになります。
「立地が良く、敷地や容積率に十分な余裕がある場合を除き、マンションの建て替えは非常に難しい。管理組合から相談を受けて実際に建て替えられるのは10件に1件以下というのが実情です」。つまり、ほぼ9割の分譲マンションは建て替えできず、老朽マンションとしてこの世に残り続けることになる。
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2人に1人は空き家を持っていたり、空き家になる可能性を感じている
そしてヤフーの意識調査「あなたの所有物件、空き家になる可能性感じる?」では、「すでに空き家になっている」が10.8%、「可能性を感じる」が41.9%、「今のところ可能性を感じない」が33.9%という結果になっています。回答している人の年代は40〜60代が77.1%ということで、まさに現在、これから空き家に頭を悩ます世代が回答しています。
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空き家問題は身近な問題として認知されるようになってきた
これだけクオリティの高い記事が出たり、意識調査が行われたりと、もはや空き家問題は多くの人にとって身近な問題として認知されるようになってきました。過疎地域だけでなく、都市部は都市部で、老朽マンションを建て替えor解体できない問題があったりと、積もり積もった問題が空き家問題と言えます。