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空き家を活用して新しい価値をつくる

クリエイティブシティ論についてのちょっとしたまとめ(1/3)

クリエイティブシティ論について数回に分けてまとめていきます。

「クリエイティブシティ」を提唱したチャールズ・ランドリー

クリエイティブシティを最初に提唱したのは、イギリスの都市計画家チャールズ・ランドリー(1948年〜)です。後述するリチャード・フロリダ(1957年〜)のほうがインパクトある感じがしますが、提唱者はこの方。クリエイティブシティを主張するにいたった背景としては、ヨーロッパ都市の産業構造の変化があります。いわゆる脱産業化、脱工業化です。

欧州では日本よりいち早く製造業が衰退(脱産業化、Deindustrialization)した結果、青年層の失業率が高まり、政府が財政危機に直面した。このような産業空洞化と財政破綻の中で、新しい都市の発展の方向をどのように見いだすかという問題意識で彼は政策提言を行う事になった。その際、芸術文化が持つ力を生かして社会の潜在力を引き出そうとする都市の試みに注目した。アメリカの都市学者Jacobsの影響を受けて創造性を芸術文化と産業経済を繋ぐ要素として最重要に位置づけていることが特徴的である。

創造都市論の議論に関する一考察 長田進(PDF)P95

都市を成長させるための刺激を与える重要な要素として芸術文化に着目し、どのように創造都市をつくるかということを論じています。

創造的都市―都市再生のための道具箱-チャールズ・ランドリー

「クリエイティブ・クラス」に着目したリチャード・フロリダ

次に、アメリカの都市社会経済学者リチャード・フロリダは、都市づくりのベースになっているのは人や産業であることに着目し、そういった「クリエイティブ・クラス」を都市に集めること、いかにして創造的な人材が集まってくる都市をつくるかが重要であると論じています。

彼は、現代経済の新しい担い手としての「創造階級」に注目し、地域再生の鍵は工場誘致ではなく、いかにして彼らを誘引できるかに懸かっているいるとする。彼は、科学や芸術、デザイン、エンターテイメントなどの職業を「創造階級の中心(スーパークリエイティブコア)」と呼び、その周辺のマネジメントや法務などの各専門職種を「創造的専門職」として、二つを合わせるとアメリカ社会全体の三割を超えたという。創造階級が好んで居住する都市や地域の特徴を三つのT_人材Talent、技術Technology、寛容性Toleranceで示した。「寛容性」とは、風変わりな、新奇なライフスタイルや考え方を持つ人たちを受け入れられることを指し、その指数の一つとして「ゲイ(同性愛者)指数」に注目しており、その代表的な都市としてはサンフランシスコやオースチンを挙げている。

創造都市への挑戦―産業と文化の息づく街へ-岩波現代文庫-佐々木雅幸P43-44

以下、新クリエイティブ資本論-才能が経済と都市の主役となる-リチャード・フロリダから、「クリエイティブ・クラス」が一体何なのかまとめます。カッコ書きでページ数を書いておきます。

クリエイティビティの台頭

変化の原動力となっているのは、経済や社会の重要な要素となっているクリエイティビティの台頭である。仕事でもその他の生活の領域でも、かつてないほどにクリエイティビティを重視しており、その育成に力を入れている。(P26)

クリエイティビティ経済には多様性が必要

クリエイティビティは人からもたらされるものである。そして私たちが担ってきた社会的な分類を無用のものとする。人はだれもがクリエイティブであり、クリエイティブ経済には多様性が不可欠だ。クリエイティビティを性別や人種、民族、性的指向といったカテゴリーに閉じ込めることはできない。(P27)

アメリカの被雇用者全体の三分の一がクリエイティブ・クラス

「クリエイティブ・クラス」という階層の台頭とともに、クリエイティビティが経済にもたらす期待は高まってきた。アメリカの被雇用者全体のおよび三分の一、約4000万人がこの階層に属している。私はこの階層の中核を科学、エンジニアリング、建築、デザイン、教育、芸術、音楽、娯楽に関わる人々と定義している。こうした人々の経済機能は新しい発想、新しい技術、新しい作品を作り上げることである。その核の周りにビジネス、金融、法律、医療とそれらの関連分野のクリエイティブな職業人の集団がある。いずれも複雑な問題解決に当たるが、そのための相当量の独自の判断や、高等教育、あるいは人的資本が必要となる。(P28-29)

ここまでのまとめ

まずクリエイティブシティを最初に提唱したのはランドリーであること。次に、フロリダがより人や産業に着目して、クリエイティブ・クラスという概念を生み出して、科学やエンジニアリング、デザイン、芸術など「何かを生み出す人」が都市に集まることが経済成長につながること、そしてクリエイティブ・クラスが都市に集まるためには寛容性が大事であること。

↓次回記事はこちら↓

akiya123.hatenablog.com

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