最新の空き家率は過去最高の13.5%で7戸に1戸が空き家だけどピンチをチャンスに!
空き家は確実に増加している
5年に1度行われる総務省の「住宅・土地統計調査」の最新の調査結果が7月29日に公開されました。マスコミでも一斉に伝えています。その結果、空き家数は820万戸と5年前の調査の時に比べ63万戸(8.3%)増加、空き家率(総住宅数に占める割合)は13.1%から13.5%となり過去最高となりました。
統計局ホームページ/平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約
(画像引用元)最新の総務省「住宅・土地統計調査」の公開に伴い、各メディアも一斉に報道。
空き家数は右肩上がり。
(画像引用元)空き家は確実に増加しています。
空き家の内訳を見ると「賃貸用の住宅」が429万戸(52.4%)、次に「その他の住宅」(いわゆる個人所有の住宅)は318万戸(38.8%)となっています。「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」は不動産市場に出ている状態なので最低限の管理はなされていると考えられます。しかし「その他の住宅」に関しては老朽化していたり管理が不十分である可能性が高くなります。5年前の調査のときから「賃貸用の住宅」は16万戸増加(5年前は413万戸で空き家全体の54.5%)、「その他の住宅」は50万戸も増加(5年前は268万戸で空き家全体の35.4%)しています。
(画像引用元)
一方で、2013年度の新設住宅着工件数は前年度比10.6%増の約99万戸。空き家が増加している中、新築住宅の建設数は4年連続の増です。なんか矛盾を感じますよね。
(画像引用元)リーマンショックの影響で21年度(2009年度)は70万戸代まで下がりました。しかしそこから毎年、新築住宅の建設は増加しています。
空き家増加に対する反響が凄い
普段から空き家関連の情報収集のためにツイッターで「空き家」検索しているんですが、この最新の統計調査結果が公開されて各メディアで報道されてからというものツイッター上での空き家関連の反応がいつもよりも多いです。
「空き家」戸数 過去最多を更新 NHKニュース http://t.co/PQTaH3Volc 「空き家の戸数を都道府県別で見ると、東京都が81万7200戸と最も多く、次いで大阪府が67万8800戸、神奈川県が48万6700戸などとなっています。」
— 稲葉剛 (@inabatsuyoshi) 2014, 7月 29
"空き家率、13・5%で過去最高"といった見出しで報じる記事元の報道資料→「平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)」 http://t.co/Zrn1izKYx8
— 荻上チキ (@torakare) 2014, 7月 29
空き家だろうが土地の上に建物があったほうが固定資産税が安くなるという「住宅用地特例による固定資産税の優遇措置」が時代性を欠いていることについてふれているツイート。
空き家を放置したほうが税金が安いんだよね。空き家を除却すると、固定資産税が2倍になったりする。新たに家を立てる資金も気力もない場合、空き家を放置するのが最適解になってしまう。 / “「空き家」戸数 過去最多を更新 NHKニュース” http://t.co/Z70Vbdc1b1
— fromdusktildawn (@fromdusktildawn) 2014, 7月 29
🔴土地にかかる固定資産税は住宅が建っていれば本来の 6分の1に軽減されるが取り壊すと優遇が薄れ支払う税の額が約4倍に跳ね上がる。持ち主にとっては空き家のまま放っておいた方が合理的な為取り壊そうとしない ⭕️空き家の割合が2013年10月時点で過去最高13.5%戸数最多の820万戸
— Chiyohime (@SherryChiyohime) 2014, 7月 30
空き家、廃屋問題だって、結局「税制」が引き起こしてるもんだからね。 それを公金をバラまいて解決しようとか、マッチポンプもいいところなんだよね。
— greenwich (@bobbygetshome) 2014, 7月 30
無計画な新築住宅の建設がまだまだ継続して行われていることについての疑問を投げかけるツイート。
人口減少の地方自治体でも相変わらず新築が継続して行われていますが、過剰供給&空き家の増加は、地域に負の遺産(不動産価値の毀損)しかもたらしません。このままの傾向を続けて大丈夫でしょうか?
— 村上 敦 (@murakamiatsushi) 2014, 7月 29
そもそも「空き家問題」というのが言葉の使い方がおかしいのですが。本来は「無計画に新築造り過ぎ問題」です。
— 長嶋修 不動産コンサルタント (@nagashimaosamu) 2014, 7月 29
そして実際の空き家数はもっと多いだろうというツイート。
空き家平均が13.5%とかって絶対にドウ見てもつかっていなくてもまだ使っているというようにオーナーが回答している場合があるから、実情はもっと高いだろうと思う。それなりの規模と需要がある地方都市部でも全床面積に対して15-20%くらい床はあいてる。
— 木下斉/HitoshiKinoshita (@shoutengai) 2014, 7月 29
雨戸が閉めてあるとか、郵便ポストに郵便物が溜まっているとか、電気・水道メーターが動いていないとか、外観上空き家っぽい住宅でもオーナーさんの認識とズレがあるケースもあります。東京都三鷹市の空き家実態調査では空き家と判定された住宅のオーナーにアンケートを行ったところ40%のオーナーさんが「空き家ではない」との認識を持っていることがわかりました。
空き家の増加がもたらす問題とは
空き家の増加がもたらす問題って主に「管理されていない空き家が増えることで起こる地域への悪影響」だと思います。誰も住んだり管理していないと住宅の劣化のスピードは加速します。誰かが住んだり定期的に管理すれば劣化のスピードは緩まるということです。
(画像引用元) 空き家の増加は地域への悪影響をもたらします。
空き家はなぜ増えるのか
そもそも1980年代には住宅の量は行き渡り、質の良い住宅も出始めてきたので毎年100万戸とか新築住宅を建設する必要はなかったわけです。しかし、バブル景気とその崩壊などを背景に”景気対策のために新築住宅の建設が行われてきた”ことで空き家が増加しています。
必要以上に新築を造りすぎる理由は「日本の新築住宅建設は景気対策の道具だから」(そもそもなぜ空き家が増えるのか?) - 空き家の活用で社会的課題を解決するブログ
必要な対策
空き家の増加がこうして白日の下になりました。では今後どのような対策が必要なのか。大枠では3つあると思います。
- 空き家をこれ以上増やさないようにする
- 今ある空き家を有効活用する
- 使い道のない空き家を撤去する
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